肝臓がん
執筆者
肝臓がん
<肝臓がんとは>
肝臓がんには原発性肝癌と転移性肝癌があります。肝臓にできる癌を原発性肝がんといいます。
その多くが肝細胞由来の肝細胞癌で、肝癌というと肝細胞がんを指すことが多いのが特徴です。
他に原発性肝癌として胆管細胞癌があります。
原発性肝癌は約約90%程度の割合で、胆管細胞癌は約10%程度の割合です。
肝臓以外の臓器のから肝臓に転移したものを転移性肝がんといいます。
胃がん、膵(すい)がん、大腸がん、乳がん、腎がんなど様々な臓器の癌が肝臓に転移します。
<肝癌の疫学>
肝細胞癌は日本を含めたアジア・アフリカに多く、欧米には少ない傾向が見られます。わが国の肝がん死亡者は年間3万人といわれ、男性の癌死因の第3位、女性では第5位です(平成13年)
約3:1と男性に多く増加傾向を示しています。
<肝癌の原因・病態生理>
原因が不明です。発癌のメカニズムは明らかではありません。
原発性肝癌の多くはC型肝炎ウイルスによる肝硬変あるいは慢性肝炎から進行する場合が多いことがわかっています。
またB型肝炎ウイルスによるものも10%程度あり、肝細胞の遺伝子に突然変異がおこり、がん化すると考えれています。
アルコールや喫煙が影響を及ぼすといわれています。
<肝癌の症状>
肝癌に特徴的な症状はなく、以前は進行してから発見されることが多かったため、黄疸(おうだん)、腹水、腹痛、発熱などの症状を示すことが多かった。多くは慢性肝炎・肝硬変を伴っています。
癌が増大すると肝機能の悪化がみられ、肝不全の症状が出現します。
最近では、肝癌はC型、B型肝炎というリスクファクターがはっきりわかっているので、重点的な検査が可能で、早期発見される場合が多くなっています。
<肝癌の一般的な治療>
<肝臓の障害度を考慮した場合の肝臓がんの治療の方針>肝臓がんの患者は癌になる以前から、慢性肝炎や肝硬変などの疾患を持っている場合が多い。
肝臓は生命維持のための重要な役割があり、多くの機能を持つので、拡大な切除はできないのが一般的です。
したがって治療方針を決定する場合、肝臓の機能がどれほど維持されているか、すなわち肝障害度を診断する必要があります。
2005年には肝臓のがんの診療ガイドラインが発表されました。これにより肝臓の障害度を考慮した手術治療の方針が示されることになりました。
肝臓の障害度は、A(軽度)B(中等度)C(重度)の3段階に分けて考えます。
A=慢性肝炎か軽度の肝硬変レベル
B=中等度の肝硬変レベル
C=重度の肝硬変レベル
AかBであれば治療法を選択する余地がありますが、Cになると治療法は限られます。
これにより
外科手術
放射線治療
肝臓移植
局所療法:肝動脈塞栓法(TAE)。エタノール注入療法(PEIT)。酢酸注入療法。マイクロ波焼灼療法(MCT)。ラジオ波焼灼療法(RFA)。肝動脈注入療法。
最新治療:抗がん剤5-FUの動注化学療法とインターフェロン併用治療。分子標的治療薬。経皮的肝灌流化学療法(PIHP)。
などがおこなわれています。
<肝癌の予後>
肝切除もしくはPEIT・MCT・RFAが可能であった場合の5年生存率は約50%というデータがあります。肝
肝は魂蔵し、判断力や計画性などの精神活動を支配する。肝は罷極の本(ひきょくのほん)、将軍の官といわれる。
肝 東洋医学
足の厥陰肝経
The Liver Meridian of Foot-Jueyin
(肝経鍼灸経穴、acupuncture point Liver 14)
肝臓がんの鍼灸、整体、マッサージ
臨床で使用する経穴(ツボ)の例:
大敦(たいとん)、行間(こうかん)、太沖(たいしょう)など。
※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。
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参考文献・引用
肝臓病 ウイルス性肝炎・肝臓がん・脂肪肝・肝硬変 (よくわかる最新医学シリーズ)
泉 並木 (著)
主婦の友社
2018/6/29 発売
肝臓がん 関連外部リンク
What Is Liver Cancer?
NCI
Liver Cancer
Centers for Disease Control and Prevention
Liver Cancer Information
American Cancer Society, Inc.