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更新日:2023/06/14

咀嚼筋腱腱膜過形成症

英語
masticatory muscle tendon-aponeurosis hyperplasia

執筆者

井出井出 貴之(鍼灸師)プロフィール

咀嚼筋腱腱膜過形成症の手技による施術

●ぜひ一度ご相談ください。

●先ずは「状態の確認と当院のセカンド・オピニオン」をお試しください。

●遠方からお越しの方も定期的に通院する必要はありません。

咀嚼筋腱腱膜過形成症 レントゲン

このような症状の方

口が開かない

口を大きく開けられない

硬いものを噛むとあごが痛い

エラが張っている

以前から口が開きにくい

口が開あけにくいので歯医者さんで治療が困難といわれた

病院で咀嚼筋腱腱膜過形成症の疑いがあると言われた

咀嚼筋を切断する手術を勧められた

咀嚼筋腱腱膜過形成症5

咀嚼筋腱膜過形成症と診断された方へ

咀嚼筋腱腱膜過形成症は咀嚼筋だけの問題ではありません。

MRIやCTにうつっている病状は、原因ではなく結果です。
 
結果のみをどうにかしても、原因がそのままであれば、また再発してしまうかもしれません。

咀嚼筋腱腱膜過形成症を根本的に改善していくための方向性の指導をいたします。

根本的に改善していくには、あなた自身がしっかりと理解して、実践していけるかるかどうかです。

この理解と実践のないまま、ドクターショッピングをつづけても、解決できないのではないでしょうか。

咀嚼筋の手術を勧められた方、手術をしてもまた調子が悪くなってしまった方、

改善にむけた方向性についてお話してみませんか。

咀嚼筋腱腱膜過形成症 Q&A

咀嚼筋腱腱膜過形成症とは

「咀嚼筋腱腱膜過形成症とは「顎の筋肉が異常に発達して、固くなってしまったことによる、開口障害」とされています。

以前より口が開きにくく、「開口障害」とか「顎関節症」と言われている方の多くは「咀嚼筋腱腱膜過形成症」「咀嚼筋痛障害」の場合があります。

咀嚼筋腱腱膜過形成症は,日本口腔外学会でも以前大きく取りあげられ、テレビ番組等でも「咀嚼筋腱腱膜過形成症」に関する内容が放送されました。

咀嚼筋腱腱膜過形成症

たけしの本当は怖い家庭の医学から

『本当は怖い口の開けづらさ』
Tさん(男性) 71歳  無職

定年後、趣味のソフトボールチームを楽しむなど第2の人生を満喫していたTさん。

これまで一度も大きな病気にかかったことがありませんでしたが、最近、おにぎりを食べようとした時などに口が開けづらいのを感じていたといいます。

数ヵ月後、虫歯治療のために訪れた歯科医院でも口が大きく開かなかったTさん。

その様子をみた歯科医師は、「顎関節症」を疑い、Tさんに大学病院の専門医を紹介。

大阪歯科大学附属病院の病院長、覚道先生による診察によって、Tさんを蝕む病の正体が判明ました。

口が開かない 開口困難

指3本(人さし指・中指・薬指)が縦に楽に入るのが正常で、入らない人は、何らかの問題があります。

顎関節症(関節円板の位置異常)
顎関節周囲の骨の形態によるもの
咀嚼筋腱腱膜過形成症

咀嚼筋腱腱膜過形成症6

咀嚼筋とは

咀嚼筋(そしゃくきん)は、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋のことです。

深頭筋とも呼ばれます。

咀嚼筋は一般に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類の筋肉が挙げられます。

咀嚼機能を主として分類するときは、開口運動に関わる筋の舌骨筋のうち、顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋を含めて咀嚼筋と呼ぶこともあります。



咀嚼筋には開口筋と閉口筋とがあります。
閉口筋には咬筋、側頭筋、外側翼突筋(上頭)、内側翼突筋があります

開口筋には顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋、外側翼突筋(下頭)があります


代表的な閉口筋は「咬筋」と「側頭筋」です。

咬筋と側頭筋の腱や腱膜が過形成されると、筋肉の可動域が狭くなるため(筋肉が充分に伸びないため)口が開かなくなります。徐々に口が開きにくくなる方が多いようですが、顎関節症との併発の場合は急激に開口困難となる場合もあるようです。

咀嚼筋腱腱膜過形成症 咀嚼筋とは

腱(けん)とは

腱(けん)は、解剖学において骨格筋が骨に付着する部分の筋肉主体部寄りにある結合組織のひとつです。

骨格筋は全体的に赤色(哺乳類)を示しますが、腱はほぼ白色に見えます。

組成の多くは線維質であるコラーゲンで、軟部組織としては硬い方です。

代表的な腱はアキレス腱があり、人体の中では最大のものです。
(wikipedia)

腱(けん)膜(まく)とは

腱(けん)は、腱膜(Aponeurosis)と呼ばれる疎性結合組織の膜につつまれています。

腱膜は腱の中に入りこんで腱をいくつかの束にわけています。

腱膜炎を起こせば、この部分での痛みや発熱を伴います。

過形成とは

過形成とは過剰な細胞分裂によって起こる組織の肥大です。

増生、過生ともいいます。外側からの生理的、非生理的な刺激により細胞増殖が起り、組織の体積が増加します。

過形成組織には癌細胞のような細胞異型や構造異型はなく、通常よりも細胞の数が多くなった状態で、細胞の形態も細胞の並び具合の規則性も、正常組織と同様です。

過形成は病理学的には癌細胞とは違い可逆的(もとにもどる)とされています。

例えば、過剰なトレーニングで筋肉が過剰に肥大しても、トレーニングをやめれば肥大はなくなっていきます。

咀嚼筋腱腱膜過形成症 症状

痛くて口を大きく開けられない。

硬いものを噛むとあごが痛い。

エラが張っている

以前から口が開きにくい。

無理に口をあけようとして歯並びがずれてきているような気がする。

口が開あけにくいので歯医者さんで治療が困難といわれる。

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病名

咀嚼筋腱腱膜過形成症
(そしゃくきんけんけんまくかけいせいしょう)

咀嚼筋腱腱膜過形成症 鑑別

咀嚼筋腱腱膜過形成症は通常ゆっくり進行しますが、顎関節症(関節円板の位置異常)も併発している場合、急激に口が開かなくなる「クローズドロック」になることがあります。

これまで、開口障害は顎関節症という診断枠の中でひとくくりにされてしまい、咀嚼筋腱腱膜過形成症の概念がありませんでした。

咀嚼筋腱腱膜過形成症の患者さんには腱や腱膜を切除する手術が行われていて、手術の効果が低いことが報告されています。

◎手術直後は開口可能になるものの、「再び口が開かなくなるケースが多い」ようです。

(日本顎関節学会2008)

咀嚼筋腱腱膜過形成症 治療

咀嚼筋腱腱膜過形成症が進行すると、指2本(人さし指・中指)が入らなくなり、日常生活に支障をきたします。

口腔外科や大学病院等では手術を勧められます。

手術では腱や腱膜を切除し、場合によっては周囲の骨を除去します。

咀嚼筋腱腱膜過形成症と片頭痛

以下はTMDいわゆる顎関節症と片頭痛の関連です。

咀嚼筋腱腱膜過形成症にも同様に片頭痛が併発することが多くみられています。

頭痛障害、頭蓋神経痛、顔面痛の分類



発症に寄与する持続因子は治療の成果に多大な影響を及ぼすとされます。

具体的には、ブラキシズム(歯軋りやくいしばり)などの悪習癖、悪い姿勢(頭部前方位等)、睡眠障害、ストレス、感情的な問題、不適切なダイエット、そして共存する医科的(全身的)、歯科的な疾患等。

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咀嚼筋腱腱膜過形成症 行動・心理社会的な面

TMDでお悩みの患者さんは身体所見と共に、行動・心理社会的な面からも評価されるべきであるとされています。

最近になって、TMDの分野にも慢性疼痛の概念が導入され、心理的な因子は本来の組織損傷が治癒した後も痛みを持続させることがあるという考え方が一般的となっています。

急性痛は体性感覚系の侵害刺激入力に影響されるが、疼痛が慢性化した場合、侵害入力よりも心理社会的要素に大きく影響されるようになるほうが優勢です。

ブラキシズム かみしめ

顎関節症 ブラキシズムや睡眠中の歯ぎしり(ブラキシズム)は内側翼突筋と外側翼突筋の痙攣によるものとされています。

歯がかみ合わさった状態では、側頭筋の前側の部分の垂直繊維と呼ばれる部分の力が慢性的に加わり、筋疲労による片頭痛や顎関節痛などをお越しやすくなります。

ナイトガード(マウスピース)は応急的なものなので、根本的に噛みしめ(ブラキシズム)を治す治療ではありません。

長期間使用すると他の部分(頸椎など)への負担が増す可能性があります。

咀嚼筋腱腱膜過形成症 ブラキシズム

咀嚼筋の痙攣

寒さなどで顎がガクガクと震えるのは咬筋の間代性痙攣により、体温を少しでも上げる働きを担っています。

自律神経失調症で、体温調整がうまくいかなかったり、身体のどこかに炎症などがある場合は、この痙攣がおきることがあります。

側頭部について

ちなみに、コメカミは、コメをカムときに咀嚼筋の側頭筋の働きで、側頭部が動くことから日本でなづけられました。外国で「rice bite」や 「rice chew」と言っても通じません。

英語でコメカミはtempleです。Templeは寺院とも訳します。昔から寺院には太陽時計などがあり、大きな鐘で時報を知らせていました。コメカミもまた「脈をうち」時を刻み、無理をするとズキンズキンと脈を打つような頭痛で身体の異常を知らせてくれる役割があります。

漢字ではコメカミは蟀谷と書きます。「蟀」はコオロギなのでコオロギの谷です。瞑想などをしていると、コメカミの部分から「リーン」という、澄んだ高い音が聞こえるような感じがします。

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咀嚼筋腱腱膜過形成症の片頭痛と三叉神経

三叉神経(さんさしんけい)trigeminal nerveは、12対ある脳神経の一つです。

三叉神経は最も太い脳神経で、太い知覚根と細い運動根に分かれ脳の橋(きょう)ponsとよばれる部分から出ています。その名のごとく、3つに枝分かれしている神経です。

知覚根の経路は、脳底という部分に感覚神を出す神経細胞が集まって三叉神経節(半月神経節)がつくられます。三叉神経節を出て、眼神経、上顎神経、下顎神経に分かれます。

眼神経は上眼窩裂(じょうがんかれつ)を通り、眼窩に入り、眼球、前頭部の皮膚、鼻腔粘膜などに分布します。

上顎神経は正円孔を通り、翼口蓋窩(よくこうがいか) に入り、上顎部、頬部の皮膚、鼻腔粘膜、歯髄などに分布します。

下顎神経は卵円孔を通り、側頭下窩(そくとうかか)に出て、下顎部の皮膚、側頭部の皮膚、口腔粘膜、舌の粘膜、歯髄などに分布します。

運動根の経路は、三叉神経節の下面を通って、下顎神経に加わり、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4つの咀嚼筋(そしゃくきん)と顎二腹筋の前腹を支配します。

三叉神経は顔面の感覚と咀嚼筋の運動に関係する脳神経です。一般的に言われている顔面神経痛の正式名称は三叉神経痛です。三叉神経痛は、三叉神経の支配領域に激しい痛みを生じる神経痛です。

咀嚼筋腱腱膜過形成症の多くの方は片頭痛を伴うことが報告されています。

眼神経の障害では、角膜反射が消失します。角膜反射とは、目の角膜に軽く触れると、反射的に目を閉じる反射です。

運動根の障害では、咀嚼筋の麻痺がおこり、左右の顎のバランスが乱れます。

三叉神経は涙腺、耳下線(唾液腺の一種)、舌下線(唾液腺の一種)などにも関与しているため、涙や唾液にも影響しています。

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大学病院などに通院されていた方の例

多くの場合、歯医者さんなどで、口を開けることができなく、虫歯などの治療ができなくなり、大学病院などへの紹介状をもらい、通院が始まります。

大きな病院で、MRIなどの装置で画像検査をします。

歯科医師は前回と比べて何センチ、口が開くようになったのか、もしくは開かなくなったのかを測り、痛ければ痛み止めが処方されます。

その後、病院によっては開口のリハビリがおこなわれます。

手術するまで定期的に経過観察されるケースが多いようです。




手術は、筋肉や骨を切ったり削ったりするので、術後は術前に比べると、口が開けられるようになるようです。


術後はマウスピースなどで固定され、しばらく顎は使えないので、流動食が続きます。

安静にするので顎を使うことがありませんし、術後の鎮痛剤効果もあって、偏頭痛や顎の痛みも一旦は治まる事が多いようです。

手術したら、今度は術後の経過観察ということで、また定期的にしばらくは通院することになります。

同時に開口のリハビリが行われます。



その後、数年するとまた、頭痛や顎の痛み、口が開きにくい、という症状が出て通院を再開する方もおられるようです。

2回目の手術をすすめれれるケースの方もおられます。

咀嚼筋腱腱膜過形成症 からだに優しい考察

顎関節周辺のみでなく全身に注目することが大切です。

心理面でもリラックスできる時間を意識的に増やしていきましょう。

怒りをため込まず、楽しいことを考える習慣をつけましょう。

咀嚼筋腱腱膜過形成症の鍼灸(針灸)施術

下関(外側翼突筋)、頬車、大迎(咬筋)、太陽、頭維(側頭筋)、天窓、天容、完骨(胸鎖乳突筋)、聴宮、翳風など

咀嚼筋腱腱膜過形成症の患者様からの質問

関東在住 K.I様

開口障害に長年悩んでいて、最近病院でMRI などを撮って、診察を受けています。

今は寝るときなどマウスピースをつけていますが、マウスピースをつけても良くなる気配がなく、焦りが出てきました。

数年前にも別の病院で診断を受けたのですが、顎関節症で手術が必要(この時はエックス線だけです)とのことでしたが、家庭の事情で手術は出来ませんでした。 今回初めてMRI を撮った結果、顎関節には何の異常もないことがわかりました。

医師は筋肉の問題かもと言うので、おそらく咀嚼筋腱腱膜過形成症なのではと思うのですが、寿楽鍼灸整骨院さんのHP を見つけて、メールさせていただきました。

口は2㎝くらいしか開きません。


関西在住 H.N様

口が開きにくいと気づいてから、すでに10年以上がたっています。

現在は、指が1本入る程度です。

ストレスを感じると、無意識に食いしばりや歯ぎしりをしていることを回りから指摘されることがあります。

5年ほど前に、天満の大阪歯科医科大学で診療したところ、咀嚼筋 腱・腱膜過形成と診断され手術でしか治せないと言われました。

現在、歯が痛いとかの差し迫ったような症状がないので、手術に踏み出せない状態です。

ホームページを拝見いたしました。一度見て頂きたいです。

実際の臨床症状における状態の確認とセカンド・オピニオン

咀嚼筋腱腱膜過形成症の実際の臨床症状における状態の確認とセカンドオピニオンをお伝えいたします。

咀嚼筋腱腱膜過形成症で偏頭痛、腰痛等の合併症のある方。

医療機関にて手術を勧められた方。

他の病気等で手術できない方。


●遠方からのお問い合わせが多いので、「臨床症状における状態の確認とセカンド・オピニオン」を↓追加いたしました。

「臨床症状における状態の確認とセカンド・オピニオン」

先ずは口腔外科などを受診して咀嚼筋腱膜などに問題があるのかどうかをお調べすることをおすすめ致します。

それをふまえて当院では、希望者に対し「臨床症状における状態の確認とセカンド・オピニオン」を行います。

セカンド・オピニオンでは、改善していくためのポイントや、ご自分で出来る事などをお話します。

それにより、遠方の方であっても、どのような方向性で咀嚼筋腱腱膜過形成症に取り組んでいけばよいのかご理解いただけると思います。

ご理解いただければ、あとはご自分で実践していただき、当院に通う必要もないと思います。

施術者

井出井出 貴之(鍼灸師)プロフィール

咀嚼筋腱腱膜過形成症 関連リンク

咀嚼筋腱・腱膜過形成症の治療
日本顎関節学会雑誌第21巻第1号


Masticatory muscle tendon-aponeurosis hyperplasia
NCBI


咀嚼筋腱・腱膜過形成症
Quint Dental Gate


Masticatory muscle tendon-aponeurosis hyperplasia diagnosed as temporomandibular joint disorder
ScienceDirect®

参考文献

あごが痛い、口が開かない 顎関節症 NHKきょうの健康Qブック 和嶋/浩一∥監修
日本放送出版協会 東京 2000.2

自分で治せる!顎関節症 イラスト版 健康ライブラリー 木野/孔司‖監修
講談社 東京 2014.4

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