橋本病なのに甲状腺ホルモン亢進
英語
Increased thyroid hormone despite Hashimoto's disease
【橋本病なのに甲状腺ホルモン亢進のなぞ】
一般的に、橋本病は甲状腺機能低下を引き起こすことがあるにもかかわらず、甲状腺ホルモンの数値が亢進してしまうことがあります。
この現象の多くは、無痛性甲状腺炎というもので、急に血液中の甲状腺ホルモンが高くなるのが特徴です。
これは、一時的な甲状腺の炎症により、甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出すことで甲状腺ホルモン量が亢進してしまいます。
無痛性甲状腺炎の炎症の原因は不明ですが、ストレス、出産、花粉などにより、自己免疫が強くなった時に起こるのではないかと考えられています。
無痛性甲状腺炎の症状は2ヶ月程度でおさまることが多いので、薬物治療は行わずに経過観察するのが一般的です。
注意が必要なのは、この無痛性甲状腺炎による甲状腺ホルモン亢進を、バセドウ病と間違えられてしますことです。
実際に、甲状腺の専門でない病院を受診して、甲状腺ホルモンが高いということで、抗甲状腺薬を処方されるケースがあるようです。
このような誤診により抗甲状腺薬の内服を行うと、重症な甲状腺機能低下症になり、甲状腺の機能が戻らなくなることもあります。
ただ、橋本病とバセドウ病は甲状腺に対する自己免疫による共通した部分もあるため、上記のような誤った処方でなくても、橋本病からバセドウ病に変化するケースもあります。
橋本病の経過観察中に甲状腺ホルモンが高くなった場合は、TSHレセプター抗体の有無を血液検査で調べることで、無痛性甲状腺炎なのか、バセドウ病なのか、ある程度の区別をつけられるようです。
なお、バセドウ病はTSHレセプターが高値を示します。
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関連外部リンク
Persisting symptoms in patients with Hashimoto’s disease despite normal thyroid hormone levels: Does thyroid autoimmunity play a role? A systematic review
National Institutes of Health (.gov)
Hashimoto's Disease
Michigan Medicine
Graves’ Disease vs. Hashimoto’s Disease: Top 4 Things to Know
Thyroid Cancer Center