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椎間板ヘルニア

英語

Herniated Disk

執筆者

井出井出 貴之(鍼灸師)プロフィール

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアによる、坐骨神経痛、しびれ、腰痛、下肢痛。

ヘルニアとは…

ヘルニアとは体内の臓器またはその他の組織が本来あるべき位置から飛び出した状態の事を言う。

腰痛の原因になるモノ一つに腰部椎間板ヘルニアがあります。

ヘルニアとは

椎間板とは…

脊柱(背骨)は24個の椎骨と言う骨+仙骨(骨盤の一部)+尾骨で構成されており、部位ごとに頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)に分けることができる。

そして、各椎骨の間で各椎骨にかかる圧力の分散、可動性の調整、関節の整合性等の役割を果たしているのが椎間板である。

椎間板とは

椎間板の構造と働き…

椎間板の中心部には『髄核』があり、その周りの『線維輪』と呼ばれる線維軟骨によって椎間板の中心に閉じ込められている。

髄核は水分を約80%含んだ透明なゼリー状の物質で血管も神経も存在していない為、全ての自然治癒の可能性が否定される。

椎間板の構造と働き

髄核とは…

髄核はほぼ球形をしておりその形のおかげで身体の前屈や後屈、側屈、回旋運動を可能にしている。

また、椎間板に圧力が加わった時、髄核がその荷重の75%を支え、線維輪が25%を支えている。

髄核に圧力が加わるとその球形の特徴から垂直方向と水平方向に力が分散される。

そこで、もし髄核を取り囲んでいる線維輪が破綻していると、そこから髄核が漏出する事になる。

この状態を俗に椎間板ヘルニアと言う。

髄核とは

髄核の物理学…

髄核にかかる圧力は単純に真っ直ぐ立っている状態に比べて、前屈している時は約3倍の圧力が、前屈の状態から姿勢を立て直す時にはさらに約2倍の圧力がかかる事になる。

もしその姿勢の立て直しの際に荷物を持ち上げる場合には圧力はさらに上昇する事になり、この事で線維輪の破綻が促されてしまう。

すなわち、その破綻の箇所から髄核が突出しやすくなる。

髄核の物理学

髄核の生理学…

髄核には常に圧力が加わっている為、夜の終わりでの髄核の水分は朝の初めより水分が少なくなる。

従って椎間板の厚みが薄くなる事になり、1日で脊柱全体で2cm程度薄くなる事もある。

しかし、夜間寝ている間には体重による圧力がかからない為、髄核は水分を再吸収し椎間板の厚みが元に戻る。

よって、夜よりも朝の方が身長は大きく、脊柱の柔軟性も大きい。

髄核の生理学

椎間板への継続的負担…

椎間板は睡眠等で荷重が取り除かれている時に回復するが、完全な回復にはある程度の時間が必要である事が分かっている。

もし、この回復に必要な時間が十分に確保できずに繰り返し髄核に荷重がかかると、椎間板は初期の厚さを回復できない。

その事で椎間板がもろくなり線維輪の破綻にも繋がり得る。

椎間板への継続的負担

椎間板の健康医学…

単純ではあるが、水分の補給と正しい姿勢、脊柱を支える筋力の保持、十分な睡眠は椎間板の状態を維持する為に必要であると言える。

しびれ、麻痺の正体…

椎間板に強い圧力がかかっている時、髄核は線維輪を横切って、後方に拡散される事が多い。

拡散された髄核が、脊柱の中を通っている脊髄や神経を圧迫して刺激することにより

その神経の支配する領域に、痺れ、知覚の麻痺、重だるさ等の症状が発生する。

この時、神経は圧力が加わった状態でも痛みの感覚は感じないことがある。

しびれ、麻痺の正体

椎間板ヘルニア痛みの正体…

では、なぜ椎間板ヘルニアで腰部に痛みが生じるのかというと、髄核が後方に拡散され脊髄に刺激を与える際に脊柱の後ろにある後縦靭帯と言う靭帯を傷付けてしまう。

またはそれ自身を突き破り破損させてしまう事によりその部位に炎症を引き起こす事が原因だと言われている。

椎間板ヘルニア痛みの正体

椎間板ヘルニア 炎症の沈静化…

そこで、急激な腰部の痛みと臀部や下肢に痺れ等の症状が出てきた時にはまずは痛みのある患部にアイシング処置を施す事で炎症の拡散を防ぎ炎症を抑える治療をしていきます。

炎症の沈静化

椎間板ヘルニアと手術…

また、以前には椎間板ヘルニアと言えば観血的療法(手術)しか治療法がないと言われていましたが、現在においては観血的療法を行っても、保存的療法で様子を見ても3年後にはほぼ同じ程度に回復していると言うデータも出てきています。

椎間板ヘルニアも程度によってはかなりの回復もみられます。

そんな中、観血的療法(手術)を第一選択肢にしてしまうのは時期尚早なのではないでしょうか。

椎間板ヘルニアと手術

からだに優しい考察

身体の異常(痛みや痺れ等)には必ず原因があります。

その原因は身体の姿勢(関節のズレ等)によるものなのか、心理的な要因(心理的な影響によって目に見えない体内の組成が変わる)や環境(睡眠不足、栄養不足等)によるものなのか…等々、その人それぞれの原因をしっかりと追究し解決していく事が根本的な治療になり、再発の防止につながると思います。

からだに優しい考察

椎間板ヘルニアの鍼灸、整体、マッサージ

臨床で使用する経穴の例:

腰の 三焦兪(さんしょうゆ)、腎兪(じんゆ)、大腸兪(だいちょうゆ)、関元兪(かんげんゆ)、志室(ししつ)など。

その他 足三里(あしさんり)、承山(しょうざん)、三陰交(さんいんこう)など。

※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。

→脊柱管狭窄症

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椎間板ヘルニア 関連外部リンク

Herniated Disk in the Lower Back
American Academy of Orthopaedic Surgeons.

Herniated Disc
American Association of Neurological Surgeons.

Herniated disk
MedlinePlus Medical Encyclopedia