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非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症 抗酸菌

抗酸菌

抗酸菌はPCR法やDNAシークエンシングなどの新しい技術により、亜種が発見されて分類がすすんでいます。

以前は、結核菌が主である定型的感染症とよばれていました。定型的感染症以外のものは非定型抗酸菌と分類されていました。

その後、抗酸菌の研究が進むにつれて、結核菌と癩(らい)菌は他のものと比べて、特殊な抗酸菌であることがわかりました。

やがて、結核菌と癩(らい)菌以外の多くの抗酸菌が原因とされる感染症は、非結核性抗酸菌症と分類されるようになりました。

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結核菌群

結核菌群は4種類が知られています。Mycobacterium tuberculosisなど。

ハンセン病

ハンセン病はらい菌に感染することで起こる病気です。

癩(らい)菌群は現技術の人工培地では培養できない抗酸菌です。

人に感染するのは、主としてMycobacterium lepraeという抗酸菌です。

Mycobacterium lepraemuriumはネズミに感染するらい菌群のうちのひとつです。

ハンセン病は熱帯地域に現在でも残っています。

有効な多剤併用療法が普及した現在においても、薬剤耐性らい菌の問題あります。全世界で約1,000万人が罹患しているという報告があります。

非結核性抗酸菌

非結核性抗酸菌は、(結核)結核菌群と(らい)癩菌群以外の抗酸菌の総称で人工培地で培養可能なものです。

人に病原性があるのはMycobacterim aviumなど約30種ほどです。

「非定型抗酸菌症」プール肉芽腫

「非定型抗酸菌症」は海水魚から感染します。別名は「プール肉芽腫」といいます。

長期化するが自然に軽快する表在性肉芽腫性潰瘍性疾患で、水族館で水槽を掃除している方や、家庭で熱帯魚の水槽を掃除している方、魚の養殖の仕事で水槽を掃除している方、プールを掃除しているかた等の手の皮膚に感染し、しゅりゅうや、かいようができることの多い病気です。

また家庭で飼っている魚などの水槽の清掃や水の入れ替えなどにより感染するM. marinumが原因の場合もあります。

M. marinumの一部の系統のなかには、マイコラクトンという毒素産生能を獲得しているものがあります。

M. ulceransや、M. kansasiiなどが関与することもあります。

多くの場合、手指の甲や関節突起部分などによくできます。

赤みを帯びた腫瘤が腫大して紫色に変色し、上肢または膝に発生することが最も多く、重症化することはほとんどありません。

なお、M. marinum は分子系統上、結核菌群に近く、結核感染のモデルとして利用できる低病原性菌としても注目されています。

水槽肉芽腫(fish tank granuloma)は病態の似ている関節リウマチと誤診される例が報告されているので注意が必要です。

ブルーリ潰瘍

ブルーリ潰瘍はM. ulceransという抗酸菌の産生するマイコラクトンという毒が原因として引き起こることがわかっています。

アフリカを中心として発展途上国での被害が大きく、激しい皮膚の炎症を伴う潰瘍なため、顧みられない熱帯病(NTD)Neglected Tropical Diseases.の一つに挙げられています。

日本でも、毎年感染例が確認されています。

非結核性抗酸菌による感染症の種類

非結核性抗酸菌(Non-Tuberculousis Mycobacteria: NTM)が様々な身体部位に感染して発病した症例が報告されています。

肺非結核性抗酸菌症 (肺に感染して発病)

皮膚非結核性抗酸菌症 (皮膚に感染して発病)

非結核性抗酸菌性皮膚潰瘍 (皮膚に感染して潰瘍を発症)

非結核性抗酸菌性腱鞘炎 (腱鞘に感染して発病)

非結核性抗酸菌性滑膜炎 (滑膜に感染して発病) 

非結核性抗酸菌性胸膜炎 (胸膜に感染して発病) 

非結核性抗酸菌性脊椎炎 (脊椎に感染して発病) 
 
非結核性抗酸菌性骨髄炎 (骨髄に感染して発病) 

非結核性抗酸菌性股関節炎 (股関節に感染して発病)

非結核性抗酸菌性リンパ節炎 (リンパ節炎に感染して発病)

創傷感染症と異物感染症

M. fortuitum complexが、ブタ心臓弁、人工乳房、骨ろうなどの汚染材料を施されている患者において、重篤な穿通創感染症を引き起こしています。

また、眼や足などの皮膚の怪我や刺青の傷などによっても抗酸菌による感染症を引き起こしています。

化学療法は施されるものの、その多くの治癒は極めて困難または不可能であることが立証されています。

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播種性MAC

MACは一般的に、進行したAIDS患者や、臓器移植など他の易感染状態の患者において播種性疾患を引き起こします。

MACの播種性疾患は、AIDS患者においては早期に起こる結核とは異なり、通常後期に他の日和見感染症と同時に発生します。

播種性MAC感染症は血小板減少、貧血、発熱、下痢、腹痛などを引き起こします。

診断は、血液や骨髄の培養、生検、によって確定できます。

肝臓、壊死したリンパ節の経皮的穿刺吸引生検などで検査します。

便や呼吸器検体中で菌を認めることもありますが、感染症ではなく単なる定着を意味する場合があるので注意が必要です。

播種性非結核性抗酸菌症は化学療法を受けているなどの免疫不全状態でもみられることがあるので注意を要します。

抗酸菌に抗生物質が効かない理由

抗生物質は細菌感染症の様相を一変させ、結核などの抗酸菌症に対しても極めて効果的に治療が行われるようになりました。

日本では、戦後ストレプトマイシンが、1971年にはリファンピシンが医療の現場で用いられるようになり、罹患率の低下をもたらしまた。

しかし、細菌は生命でありニッチ獲得のために適応・進化することは自然の摂理である。

多くの病原体は増殖期においてできるだけ速く分裂するために、タンパク質の生合成を担うリボソーム遺伝子を複数保有するため、いち早く増殖する。

抗生物質の治療効果は、病原体の早い増殖によるために発揮できた。

しかし、多くの抗酸菌ではリボソーム遺伝子を1 組しか保有していないため、ゆるやかに増殖する。それにより、抗生物質の治療効果は、うまく発揮できず、その副作用による宿主への悪影響が懸念されるのが非結核性抗酸菌症である。

アビウム菌の種類(M. avium)

M. avium subsp. paratuberculosis(MAP)

M. avium subsp. avium(MAA)

M. avium subsp. silvaticum(MAS)

M. avium subsp. hominissuis(MAH)

ヨーネ病

MAPが引き起こすヨーネ病は法定伝染病に指定。

ヨーネ病とは牛をはじめとした反芻動物にMAPが引き起こす伝染病。

国際塩基配列データベースにおいて公開されている菌株

avium 7 株

paratuberculosis 34 株

hominissuis 46 株

抗酸菌の増殖

抗酸菌は「環境条件が 整った場合においていち早く増殖する」

抗酸菌の細胞壁

抗酸菌の細胞壁は脂質を多く含んでいます。

そのためか非刺激主マクロファージ内では殆ど殺菌されることがないことが確認されています。

結核菌の抵抗性

結核菌のマクロファージ殺菌機構に対する抵抗性の獲とくは、主にファゴソームとリソソームの融合阻害によるといわれています。

抗酸菌の糖脂質

結核菌などの抗酸菌は糖脂質などを有します。(リポアラビノマンナンやフェノール性糖脂質)

(lipoarabinomannan;LAM)

(phenolic glycolipid-I;PGL-I)

結核菌の過酸化水素消去機能

結核菌ではカタラーゼによりH2O2過酸化水素(Hydrogen peroxide)を消去する機能が菌マクロファージ内での生き残りに重要。

結核菌の取り込み

結核菌は主にFcレセプターではなく補体レセプター(CR1,CR3)を介してマクロファージ表 面に結合することによってマクロファージ内に取り込まれる。

peroxynitrite anion

ONOO-(peroxynitrite anion) は大腸菌に強い殺菌能。

RNI産生

IFN-γLPまたはTNF-αとの組み合わせによる刺激では、マクロファージのiNOS遺伝子の転写が促進するので、RNI産生が亢進します。

殺マクロファージの菌能低下

L-4、IL-10やTGF-βなどはマクロファージの殺菌能を低下させる。

不飽和脂肪酸殺菌作用

マクロファージの細胞膜のリン脂質よりホスホリパーゼA2の触媒作用により、ファゴソーム内に遊離される不飽和脂肪酸は抗酸菌に強い殺菌作用を示します。

パルミトオレイン酸

オレイン酸

リノール酸

リノレン酸

アラキドン酸

など

飽和脂肪酸の抗マイコバクテリア活性

飽和脂肪酸はC10(カ プ リン酸)、C12(ラ ウ リン酸)が最も強い抗マイコバクテリア活性を示す。

ファゴリソソーム内の殺菌活性

マクロファージの殺菌活性はファゴソーム内よりもファゴリソソーム内においてより強力。

結核菌のエスケープ

結核菌ファゴソームから細胞質内ヘエスケープすることが報告されている。

非結核性抗酸菌の長期滞留性

多くの非結核性抗酸菌は、結核菌に比べて毒性は低いが、長期間の滞留性を有している。

Persistency

MACの抵抗性

BCG感染でマクロファージを活性化した宿主に重感染させた場合、結核菌は感染部位ですぐに殺菌されるのに対して、MACなどの非結核性抗酸菌では、活性化マクロファージに対しても強い抵抗性を示し、増殖してしまうこともある。

MACの細胞毒性

MACは結核菌のように感染マクロファージに対して細胞毒性を示すことは少ない。

MACの細胞内増殖

サイトカイン処理で活性化したマクロファージ内でMACは結核菌に比べて細胞内増殖が抑制されにくい傾向がある。

感染防御免疫

抗酸菌はマクロファージ殺菌メカニズムに対する抵抗性が強い。

抗酸菌はマクロファージ内で長く生存しつづけ、強力な免疫原性マクロファージ活性化能を発揮し続ける。

抗酸菌感染症は化学療法は困難とされています。

MAC菌の再増殖

抗酸菌感染症では副作用も強い多剤併用療法などの強力な化学療法をおこなうことで、一時的には、ある程度の菌の排除がみられる場合もある。しかし数週間以降、菌の再増殖が認められる場合が多い。

非結核性抗酸菌の滅菌

全てではありませんが、グルタラール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンに抵抗性を示す非結核性抗酸菌があります。

滅菌や熱消毒は有効 医療機器対策

セミクリティカル器具の消毒は耐熱性器具であればオートクレーブによる滅菌や熱消毒が有効です。

高水準消毒薬の有効性

非耐熱性器具には、高水準消毒薬を用いて高水準消毒をすることが有効です。(グルタラール、フタラール、過酢酸など)