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非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症 症状と検査

感染後、10年以上かけてゆっくりと進行すると言われています。検診の胸部エックス線検査などで初めて発見される場合が多いのは、初期の非結核性抗酸菌症では、症状がほとんど無いためです。

せき、たん、血たん、発熱、寝汗、だるさ、などが出ることもあります。原因不明の止まらない咳のばあい、この感染症を疑うこともあります。

発病し進行すると、気管支の壁や周囲が慢性炎症によって充血するため、咳や痰が数カ月間続き、内部の出血により血痰が出てきます。菌が肺の組織にしゅんじゅんし、空洞化(穴が開く)するため、呼吸困難に陥る場合もあります。弱くなった肺の表面に穴があき肺がしぼんでしまう気胸を起こす方もおられます。

進行し微熱や高熱等の熱症状がみられることもあります。粟粒結核などの病変をおこすこともあります。慢性の経過で進行し10年ほどで酸素吸入が必要な状態に進行することもあります。

小児の慢性の下顎および顎下頸部リンパ節炎は一般的にMACまたはM. scrofulaceumなどの抗酸菌が原因となることが多く、通常、化学療法は用いません。

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非結核性抗酸菌症 画像検査

胸部エックス線検査、胸部CT検査で結核に似た特徴的な影を見つけます。肺に多発する粒状影はないか、空洞影はどうか、気管支拡張などの異常を意味する陰影はないか、などを調べます。

基本的には、たくさんの小さなブツブツ陰影と気管支拡張が初期の症状です。

進行すると空洞や肺炎類似の陰影も加わります。人によってさまざまななので一概にはいえません。

肺MAC症の陰影は非常に多彩ですが、女性では、右肺の中葉(ちゅうよう)、左肺の舌区(ぜつく)といわれる部位に、気管支拡張や結節(小葉中心性粒状陰影)を示す陰影として確認され、ゆっくり進行するタイプが多いのが特徴です。

もともとあった肺の病変の影響を受けるため必ずしも同じ特徴であるとは断定できません。

カンサシ症の場合、結核と同じように、肺の上方に空洞を示す陰影がよく見られます。結核よりも空洞の壁が薄く、周囲の散布陰影が少ない傾向がみられます。

結核と違って胸水(きょうすい)がたまることはまれで、肺組織の石灰化も少ないといわれています。

木の芽様陰影(tree-in-bud appearance)もMAC感染症の特徴です。

抗酸菌の培養

検体から原因とされるであろう病原菌が検出されても、その菌を原因菌としてみなすことはできませんし、感染症に罹患していると結論づけることもできません。

非定型抗酸菌はどこにでもいる菌である為、検査では陽性となりやすく、症状の原因になっているのかどうか判断が難しい特徴があります。

確定診断は非定型抗酸菌症研究協議会の診断基準を基に行われます。また、国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班の診断基準を基に行われます。

化学的には基本的に結核と同様の検査をします。非結核性抗酸菌は結核菌を検出する抗酸性染色では、結核菌と区別がつきません。

痰(たん)の中に菌が含まれないか、培養検査で調べます。痰を調べて酸菌症がみつかれば診断になります。喀痰や胃液・骨髄の抗酸菌培養 には増殖に4〜8週間程度必要です。結果が出るまでに数カ月かかることがあります。

気管支鏡検査で検体の培養を行う方法もあります。CT下肺生検、上部消化管内視鏡などによる生検、皮膚生検などをすることがあります。

気管支鏡でも菌の検出は必ずしも容易ではありません。高齢者のため気管支鏡がその負担から躊躇されるケースもあります。

喀痰や培養液などの検体が採取できないときに、直接病巣から検体を採取し、病理診断や培養をすることもあります。

呼吸器感染の場合はチール・ネルゼン染色、蛍光染色の喀痰塗抹をすることがあります。

培養した菌で、ナイアシン試験を行ないます。結核菌は陽性に、非結核性抗酸菌は陰性になります。

菌のDNAを調べたり、培養した菌の群落の性質を検査したりして判定します。

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抗酸菌の血液検査

MAC(アビウムとイントラセルラー菌)については抗体検査としての血液検査「キャピリア®MAC 抗体 ELISA」が利用できるようになっていますが、他の菌種でも陽性となるものがあり確定診断には至りません。血液検査で陽性となるとMAC症の可能性が疑われます。

血液検査はキャピリア®MAC抗体ELISAです。

この検査は血清中のIgA 抗体を測定します。

キャピリア®MAC 抗体 ELISAは、特異度は高いが、感度は十分に高いとは言えない報告があります。

検査が陰性でもMAC症を否定できないので、補助的診断としておこないます。

環境中のMAC暴露による偽陽性の報告もあるため、喀痰培養や気管支鏡検体による培養が重要と考えられています。

ツベルクリン反応は無効

尚、結核のツベルクリン皮内反応は、非結核性抗酸菌の感染の判定には役立ちません。

抗酸菌の遺伝子検査

培養で菌が見つからないこともあり、菌の遺伝子を検出するPCRという方法もよく行われます。

PCRのリアルタイムPCRは特異度が高いため、主として用いられています。

DNA-DNAハイブリダイゼーションでは、結核菌群、非結核性抗酸菌群の18種で菌種が同定できます。

日本結核病学会・日本呼吸器学会合同の診断基準

肺非結核性抗酸菌症の診断基準
(日本結核病学会・日本呼吸器学会基準)

診断基準

https://www.kekkaku.gr.jp/commit/ntm/200804sisin.pdf

肺NTM症の治療:ATS/ERS/ESCMID/IDSA 臨床プラクティス 公式ガイドライン

「肺NTM症の治療:ATS/ERS/ESCMID/IDSA 臨床プラクティス 公式ガイドライン」2020年

下記をコピペして google検索すると複数出てきます。「このページを訳す」でカタコトですが日本語で読めます。

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Treatment of Nontuberculous Mycobacterial Pulmonary Disease: An Official ATS/ERS/ESCMID/IDSA Clinical Practice Guideline