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SJS スティーブンス・ジョンソン症候群

2005年「スティーブンス・ジョンソン症候群」という非常に恐ろしい病気を被ってしまった方を身近で知りました。

ちょっとした疲労で入院したはずでした。

40度の高熱、全身やけどの様な皮膚症状、爛れた肌によって眼も開けられなくなるというこの重篤な薬の副作用被害は最先端医療の影の部分かもしれません。

皮膚粘膜眼症候群

病気についての詳しい説明

1.医薬品による重篤な皮膚障害について
(1)はじめに
 医薬品の副作用として皮膚障害が発現することは,よく知られているところである。皮膚障害のうち重篤なものとして,スティーブンス・ジョンソン症候群〔皮膚粘膜眼症候群:Stevens-Johnson syndrome(SJS)〕,中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)がある。
 SJS,TENについては,医薬品・医療用具等安全性情報No.163(平成12年11月号)及び医薬品・医療用具等安全性情報No.177(平成14年5月号)において,その病態等の説明とともに,平成9年度から平成12年度までに厚生省(当時)へ報告されたこれらに関する副作用症例報告の状況等を紹介しているところであるが,その後の厚生労働省への副作用症例報告を踏まえ,SJS,TENについて,No.163,No.177の内容の再掲の部分もあるが,改めて注意を喚起することとした。
(2)スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群),中毒性表皮壊死症について
 スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群:SJS)は,重症型多形滲出性紅斑(erythema exsudativum multiforme major:EEMM)と同義語とされており,これらの皮膚疾患の中で最も重篤とされているのが中毒性表皮壊死症である1)。
 中毒性表皮壊死症(TEN)は,ライエル症候群(Lyell syndrome)とも呼ばれる。なお,類似症状を示す疾患としてブドウ球菌性TEN(staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)や輸血後の移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)などがある。
 これらの発生頻度は,人口100万人当たり各々年間1~6人,0.4~1.2人2,3)と極めて低いものの,発症すると予後不良となる場合があり,皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器官等に障害を残すこともある。
1)初期症状と臨床経過
 SJSの初期症状は,発熱,左右対称的に関節背面を中心に紅斑(target lesion等)が出現し,急速に紅斑の数を増し,重症化するにつれ,水疱,びらんを生じ,融合する。眼,口腔粘膜,外陰部などの粘膜疹を伴うことも多く,検査所見では白血球増多,赤沈亢進,CRP陽性などを示す。発熱などの全身症状とともに,多形滲出性紅斑様皮疹(target lesion),広範な粘膜疹が急激に生じることにより診断は困難ではない。呼吸器障害(肺炎等)や肝障害等の合併症を来し,その死亡率は6.3%との報告がある4)。
 一方,TENは,発熱や腋窩,外陰部,体幹などに広範囲な紅斑が出現した後,急速に水疱を生じ,水疱は破れやすく(ニコルスキー現象),全身びらん症状を呈する。II度熱傷に似て,疼痛も著明である。検査所見では血液,肝,電解質などに異常を認めることが多い。多臓器障害の合併症(肝障害,腎障害,呼吸器障害,消化器障害等)を来し,死亡率も高く20~30%とする報告が多い4,5)。
2)発症原因と機序
 単純疱疹ウイルス,肺炎マイコプラズマ,細菌,真菌等の種々のウイルスや細菌による感染症,医薬品,食物,内分泌異常,悪性腫瘍,物理的刺激などによって起こるアレルギー性の皮膚反応(III型アレルギー)と考えられている。医薬品が原因となる場合が多いとされており,文献によるとSJSの59%は医薬品が原因と推定されたとする報告4)や,TENの90%以上は医薬品が原因と推定されたとの報告もある4,5)。これら皮膚疾患の発症機序の詳細はいまだ明確ではなく,また,これら重篤な皮膚疾患の発症を医薬品の投与に先立って予知することは非常に困難である。
3)原因医薬品
 原因医薬品は,抗生物質製剤,解熱鎮痛消炎剤,抗てんかん剤,痛風治療剤,サルファ剤,消化性潰瘍用剤,催眠鎮静剤・抗不安剤,精神神経用剤,緑内障治療剤,筋弛緩剤,高血圧治療剤などであり,その他種々の医薬品で発生することが報告されている2,4-7)。
4)治療
 医薬品によるSJS,TENに対しては,発熱や発疹等の初期症状を認めた場合,原因と推定される医薬品の投与を直ちに中止することが最も重要で最良の治療法である。しかし,投与を中止してもSJS,TENへと重症化する場合があるので注意が必要である。一般にSJS,TENが発症した場合,副腎皮質ホルモン剤の全身投与,あるいは血漿交換療法,ビタミン類の投与,更に二次感染予防の目的で抗生物質製剤投与が行われ,皮膚面に対しては外用抗生物質製剤,外用副腎皮質ホルモン製剤が用いられている。粘膜面にはこれらとともに,うがい,洗眼など開口部の処置が行われている6-8)。なお,これらの治療は,皮膚科の入院施設のある病院で行うことが望ましいとされている9,10)。
(3)平成13年度~15年度(電子報告移行前まで)の厚生労働省への副作用症例報告について
 従来は製薬企業からの副作用報告は紙媒体で受け付けていたが,平成15年10月27日より電子的に報告を受け付けるシステムを稼働した。そのことから,今回は平成13年度以降電子報告に移行するまでの間(平成15年10月26日までの約2年7ヵ月)についてまとめた。この期間に薬事法に基づく企業からの企業報告,医療機関から直接厚生労働省へ報告される医薬品等安全性情報報告制度によって報告された副作用症例報告数は72,409件であった。それらのうち副作用がSJSあるいはTENとされた報告は約1.5%の1,064件であり,そのうち一般用医薬品が被疑薬に含まれている報告は約5%の58件であった。1,064件の転帰は,約66%の702症例は“軽快”あるいは“回復”とされた症例であり,66症例(約6%)は報告された時点で未回復,62症例(約6%)は何らかの後遺症を来し,106症例(約10%)は医薬品が関連した死亡とされた症例であった。残り約12%の128症例については,医薬品以外の原因による死亡,あるいは転帰不明とされた症例であった。これらの数字をNo.163及びNo.177で紹介した平成9年4月1日から平成13年3月31日までの4年間の報告と比較してみると,発生傾向や転帰等に目立った差は見られなかった。なお,これらの報告症例については重複症例があること,医薬品との因果関係が明確でない症例も含まれていることに御留意いただきたい。
 被疑薬として報告があった医薬品は283成分であり,報告数の多かった医薬品の品目及び薬効分類を表1と表2に示す。報告が多かった医薬品について比較すると,解熱鎮痛消炎剤(NSAIDs)が多いのが目立っている他は従来と傾向に大きな違いはなかった。なお,報告数順位については,各医薬品の販売量が異なること,また,使用法,使用頻度,併用医薬品,原疾患,合併症等が症例により異なるため,単純に比較することはできないことに御留意いただきたい。
表1 報告の多い推定原因医薬品(医薬品別)
カルバマゼピン
アロプリノール
ジクロフェナクナトリウム
レボフロキサシン
ロキソプロフェンナトリウム
ゾニサミド
アジスロマイシン水和物
セフジニル
塩酸セフカペンピボキシル
クラリスロマイシン

(平成13年4月1日から平成15年10月26日までの症例報告より)
表2 報告の多い推定原因医薬品(薬効分類別)
抗生物質製剤
解熱鎮痛消炎剤
抗てんかん剤
総合感冒剤
痛風治療剤
消化性潰瘍用剤
合成抗菌剤
サルファ剤
高脂血症用剤
精神神経用剤

(平成13年4月1日から平成15年10月26日までの症例報告より)

(4)まとめ
 SJS,TENは,その発生頻度は極めてまれではあるものの,いったん発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがあったり,皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器官等に障害を残したりするなど,重篤な皮膚疾患である。これらの皮膚障害は,非常にまれとはいえ,個人や医薬品を問わず起こり得る可能性がある。したがって,投与前の問診を十分に行うとともに,薬疹に対しては被疑薬の投与を中止することが最も重要で最良の治療法とされており,医薬品投与後に高熱を伴う発疹等を認めたときは,直ちに被疑薬の投与を中止し,SJS,TENの発症を疑った場合には,皮膚科の専門医を紹介することが必要と思われる。
〈参考文献〉
1) Assier, H., et al.:Erythema Multiforme With Mucous Membrane Involvement and Stevens-Johnson Syndrome Are Clinically Different Disorders With Distinct Causes, Arch. Dermatol., 131:539-543(1995)
2) Roujeau, J-C., et al.:Medication Use and The Risk of Stevens-Johnson Syndrome or Toxic Epidermal Necrolysis, N. Engl. J. Med., 333:1600-1607(1995)
3) Rzany, B., et al.:Epidemiology of Erythema Exsudativum Multiforme Majus, Stevens-Johnson Syndrome, and Toxic Epidermal Necrolysis in Germany(1990-1992):Structure and Results of a Population Based Registry, J. Clin. Epidemiol., 49:769-773(1996)
4) 相原道子,池澤善郎:本邦におけるToxic Epidermal Necrolysis(TEN)死亡例の臨床的検討-TEN生存例およびStevens-Johnson syndrome(SJS)死亡例との比較検討-,日皮会誌,109(11):1581-1590(1999)
5) 南光弘子:本邦におけるToxic Epidermal Necrolysis 126例の臨床的解析-輸血後GVHDとの鑑別は可能か否か-,45:571-578(1991)
6) 高橋隆一監修:臨床医が書いた薬の重大な副作用がわかる本-患者が気づく副作用症状-,エルゼビア・ジャパン(1998)
7) 伊崎誠一:「TEN(中毒性表皮壊死融解症)」,川越クリニカル・カンファレンス,KCCシリーズ,No.39(1998)
8) 池田重雄,他編集:標準皮膚科学 第5版,医学書院(1997)
9) 塩原哲夫:診断と治療,87(Suppl):37-41(1999)
10) 原田昭太郎,他:臨床医薬,17(9):1261-1273(2001)

参考・引用
厚生労働省
医薬品・医療用具等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No.203

からだに優しい考察

普段から病気にならない健康管理があたりまえのようで一番大切だと思います。

東洋医学では「未病治療」といって病気にならないための治療を定期的に行なう習慣があります。

スティーブンス・ジョンソン症候群の被害を受けてしまった方には、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料などが支払われます。