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東洋医学の脾

「四支は皆気を胃に禀けて、経に至るを得ず、必ず脾に因って乃ち禀を得るなり」(素問:太陰陽明論篇)

脾とは、営(栄養物質)を蔵し、後天の本となる。脾は胃と一体となって働き、飲食物を消化吸収し、そこから生命の源となる「後天の精」を取り出す。

さらにこれを肺へ送り、気、血、津液に変化して、全身に送り出す。まさに脾は、“飲食”を“生命力”に転換する重要な変換装置である。

● 脾は肌肉を司り、脾の衰えは筋肉の萎縮や四肢のだるさにあらわれる。

● 脾は口に開竅し、その状態は唇に反映する。唇が乾いたり色が悪いのは、脾の機能低下の兆候である。

● 脾の液は涎(よだれ)である。口が乾くのは津液が少なく、脾の働きが低下している証拠。

● 脾は「運化・昇清・統血」を主る。運化とは飲食物の栄養を運び変化させること。昇清とは、清らかな気を上に昇らせること。統血とは血を脈中に留める働きである。


■脾は「意(い)」を主る:考えすぎると消化が止まる
東洋医学では、脾は単に物理的な消化だけでなく、「思考」の働きも担うとされる。過度な思考=思い悩み(過思)は脾を損ねる。特に現代人のように、情報過多で常に頭を使っている生活は、**実際に何も食べていなくても脾を疲弊させる**。

■「昇清」とは姿勢の力でもある
脾の昇清作用は、単に気を上げる力ではなく、実は**重力に逆らって立ち上がる力**とも通じる。現代人の前傾姿勢やスマホ首などは脾の昇清を妨げ、結果として胃下垂やめまいなどにつながる。姿勢の崩れは、脾の力の崩れでもある。

■甘い物を欲しがるのは脾のSOS
脾は「甘味を好む」とされる。しかし、これは“甘味が脾を補う”のであって、過剰に甘いものを欲するのは、**すでに脾が弱っている証拠**である。甘いお菓子を止められない人ほど、脾が助けを求めている可能性がある。

■脾の病は、声に現れる
脾が弱ると、言葉に力がなくなる。「声に艶がない」「話に芯がない」「口先だけになる」。これは単なるメンタルの問題ではなく、**“意”を支える脾の力が弱っていること**を物語る。

脾

脾の病証

● 脾気虚(ひききょ) … 疲れやすい、食欲不振、軟便、四肢のだるさ

● 脾陽虚(ひようきょ) … 脾気虚に加え、冷え、むくみ、下痢、手足の冷えなど

● 脾陰虚(ひいんきょ) … 胃腸の乾燥感、口の渇き、空腹感があるのに食べられない

● 脾胃湿熱(ひいしつねつ) … 口が粘る、食欲不振、腹部が重だるい、舌苔が黄色くべっとり

● 脾胃昇降失調(しょうこうしっちょう) … めまい、胃下垂、逆流、吐き気、疲労感

■現代人の脾虚は「思考の過食」から起きている
食べすぎではなく、**考えすぎ**で消化機能が低下している人が急増している。静かな時間を作ること、デジタル断食、五感を使う生活などが、脾を補う“新しい養生”となり得る。

脾の病証

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