肺塞栓症

Pulmonary embolism

肺がんの医学

執筆者

井出貴之（鍼灸師）プロフィール

肺塞栓症とは血液のかたまりである寒栓によって肺動脈がつまって（閉塞）しまう疾患です。

肺塞栓症による死亡は頻繁に起こっています。

よく知られているのは骨折が原因で起こる肺塞栓症です。

骨折により、血塊、脂肪の塊、空気の泡、静脈から肺に運ばれてきた時、塞栓が肺動脈につくられてしまうことかあります。

塞栓は肺動脈をへて、右心より肺に運ばれます。この際に肺動脈またはその枝が閉鎖されてしまうことがあります。

肺寒栓症の結果、部分的もしくは完全な肺への血液還流の停止が生じてしまいます。

血液還流のブロックは換気に影響を与えます。肺の血液還流のブロックにより血液への酸素供給が低下するため、急性呼吸困難に陥ってしまいます。

右心室は、体循環系から戻った血液を肺循環系に押し出すことができなくなるので、急速に拡張することが予想されます(急性肺性心)。

数分のうちに死に至ります。

気管支肺区域に供給する動脈に中程度の塞栓が生じることがあります。この結果、肺梗塞を起こし、その領域の肺組織の壊死が起こります。

アスリートなどの身体的に発達した人では、付加的な血液供給路である側副循環がしばしば存在するので、肺塞栓が生じたときにさらにそれが発達して働くため、梗塞はあまり発症しないか、発症しても軽症ですむことがあります。

肺に慢性のうっ血のような循環障害がある人の肺塞栓は肺梗塞を引き起こす確率がそうでない人に比べて高いです。

特に気管支動脈の枝との吻合は、終末細気管支領域で肺梗塞が発生しやすいです。

臓側胸膜の領域に十分な血液供給を受けていないと、炎症性の潰瘍(胸膜炎)が発症して、痛みを発するようになります。

胸膜の痛みは肋間神経の皮枝に起因します。

肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン
肺血栓塞栓症深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン作成委員会著
メディカルフロントインターナショナルリミテッド 2004