アトピーの小児はり
アトピーの小児はりについて
アトピーの原因には、アレルギー体質や胃腸の機能低下などがあげられています。さらに深く掘り下げると、生まれる以前の母体の状態や受精卵の状態まで考えることができます。
妊娠当時のご両親の生理的、心理的負担による自律神経のバランスが深く関与している可能性も否定できません。なかなか完治しにくい子どもがいるのはこういった背景があると考えています。
でも、あきらめないでください。
成長期の生命力あふれる子供はこの状況に適応しようと必死で頑張っているのです。
アトピーの炎症は必要だから起きているというみかたがあることを御存じでしょうか。
そして子どものからだは、その炎症に対応するための生理的な成長を精一杯発達させようと頑張っている状態だととらえることができます。
この子供の発達を邪魔しない様に見守りながら、成長を促進してあげること、こども自身のからだの能力で炎症を軽減させるように、子供の副腎からのステロイドの合成を促すからだづくりが成長期の子供にとって必要なことなのです。
自然な形で身体機能の発達が最も促進される方向性に働きかけることが大切だと考えます。
では自然な形で身体機能の発達が最も促進される治療とはどういうものでしょう。
例えば、亜脱臼(あだっきゅう)につて御存じでしょうか。
脱臼には完全脱臼と亜脱臼があります。脱臼は関節面が完全にずれているのに対し、亜脱臼は関節面に部分的な接触が残っている不完全脱臼です。亜脱臼が身体のどこかにある場合その部分周辺の成長は低下してしまいます。
亜脱臼には病院のレントゲンやMRIなどの画像診断でわかるものと、そうでないものがあります。
問題は、画像診断では判断できない微妙な亜脱臼です。
子どもの頃の脱臼や亜脱臼は関節の成長に支障を伴うことが多く、適切に整復されると改善されることが多いといわれています。
よくあるのは女性の股関節の微妙な亜脱臼は見逃しやすく、そのまま成長してしまうと、将来股関節に何らかの問題を生じることがあることがわかっています。
つまり関節や筋肉の位置関係が正しければ生体は健全に成長しやすい状況にあります。それが生理的な機能の向上にもつながっていくということです。
人間のからだには250以上の関節があります。成長する過程でこれらの関節の位置関係が変化してきます。こどものころは膝がO脚になったりX脚になったりしながら少しずつ骨に負荷をかけて安定した形に成長していきます。
いつも同じ方向に抱っこしたり、同じ方向に寝かせるなどの、偏りの大きい生活習慣が気付かないところでつづけば、からだ全体の関節の骨の位置は本来の成長過程においてあるべき所とは少し違った場所におさまりながら(微妙な亜脱臼のまま)不完全な成長をしてしまいます。
つまり、微妙なからだのズレによって100%の成長力が発揮できずに、80%や70%程度の成長になってしまうのです。
不完全な成長をしてしまった場所は、上記の股関節のお話のように、いずれ何らかの問題を生じる可能性が高くなります。
そして、この亜脱臼は、骨や関節だけでなく、内蔵や皮膚の位置でも同じことがいえるのです。自己免疫力の低下やアレルゲン反応などは単に血液中の問題ではないのです。
自然な形で身体機能の発達が最も促進される治療とは、このからだ全体の関節、内臓、皮膚などの位置を、成長過程において本来あるべき位置(ニュートラル・ポジション)に戻してあげることなのです。
これは、運動後に乱れたからだを整える整理体操とよく似ています。
犬や猫などもその本能から時々自分のからだを地面に押し付けて整えています。
全身の微妙な亜脱臼をニュートラル・ポジションに促すことで、子供の成長が内科的、外科的に十分発揮されることになり、それが身体機能の促進につながるのです。
当院の小児はりの基本原理は、手指を使い無理のない程度にこのニュートラル・ポジションの方向に少しずつ緩やかに促しながら内蔵や神経機能を自然に、そして健全に発達させていこうとするものです。
その過程では心理的なニュートラル・ポジションも大切になります。
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