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肩内陵(けんないりょう) |

英語
Extra points-Literature
EX-LT
jiān nèi líng,Jianqian
Shoulder Inside Mausoleum,Inner Shoulder Mound
文献の経穴 奇穴
肩内陵(けんないりょう)
Kennairyou
取穴部位
上肢を自然に下垂させ、腋窩横紋前端と肩髃穴との中点に取る。
触診では、三角筋前縁と上腕二頭筋長頭の間にやや陥凹を感じる部位が目安となる。
筋肉・関連組織
三角筋(前部線維)、上腕二頭筋長頭腱部周囲
肩関節包前方、烏口上腕靭帯周囲に機能的関連を持つ。
運動神経
腋窩神経、筋皮神経
知覚神経
鎖骨上神経
血管
前上腕回旋動脈
主治
肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
肩関節前方の可動域制限(外転・屈曲制限)
上肢の挙上困難
片麻痺後の肩拘縮
肩前面の疼痛・つっぱり感
名前の由来
「肩内陵」の“内”は肩関節前方深部を指し、“陵”は小高い丘・隆起を意味する。
肩関節前面の隆起部内側に位置することから名付けられたと考えられる。
すなわち、肩前方の「内なる丘」に当たる要所という意味を持つ。
臨床的意義
肩内陵は、肩関節前面の「動き出し」に関与する重要ポイントである。
とくに腕を挙げ始める瞬間の引っかかりや痛みは、この部位の緊張・癒着が関与することが多い。
肩髃穴が外側から肩を整えるのに対し、肩内陵は前方から肩関節の滑走性を回復させる役割を持つ。
そのため、外側の経穴だけで改善しない症例に対して突破口となることがある。
取穴のコツ(実践的ポイント)
単に中点を機械的に取るのではなく、
腕をゆっくり外転・屈曲させながら最も緊張が浮き出る点を探ると反応点が見つかりやすい。
圧して「そこが重い」「奥に響く」と感じる場所が阿是的反応点となることが多い。
刺鍼の注意
深刺は避け、三角筋前縁を目安にやや斜刺。
強刺激よりも、滑走改善を目的とした穏やかな操作が適する。
過度な刺激は上腕二頭筋長頭腱炎を悪化させる可能性があるため注意。
応用例
● 五十肩初期の疼痛期:
肩髃・臂臑と併用し、前方拘縮の解除を図る。
● 慢性拘縮期:
四関穴で全身循環を整えた後、肩内陵を一点的に使用すると可動域が拡大しやすい。
● 片麻痺後の肩亜脱臼傾向:
筋緊張調整を目的に浅刺または置鍼。
その他重要事項
肩内陵は経絡理論上の明確な所属は持たないが、実際の臨床では
「肩前面の機能的中枢点」として扱われることが多い。
とくに、肩関節前方の硬さが精神的緊張や防御姿勢と関連するケースでは、呼吸誘導と併用することで効果が高まる。
肩は「抱え込む」「守る」動作に関与する部位であり、肩内陵はその前面に位置する。
単なる局所治療点にとどまらず、姿勢・呼吸・心理状態とも関連する要所として捉えると臨床応用の幅が広がる。

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