混合性うつ状態と中医学的アプローチ
混合性うつ状態とは
「混合性うつ状態(Mixed Depression)」は、うつ状態と軽躁症状が同時に現れる複雑な心の状態を指します。気分の落ち込みと同時に、内的な焦燥感やイライラ、多弁、入眠困難など、相反するような症状が交錯します。
以下のうち3項目以上が見られる場合、混合性抗うつ状態が疑われます:
- 内的な緊張や興奮
- 思考の混雑・止まらない思考
- 強い怒りやイライラ
- 運動性の遅滞がない
- 多弁・話が止まらない
- 劇的な感情表現(突発的に泣くなど)
- 気分の不安定さ、反応性の高さ
- 入眠困難
現代医学との比較
現代医学では、混合性うつは主に薬物療法(抗うつ薬や気分安定薬)によって対処されますが、症状の複雑さから誤診されやすく、薬が逆に症状を悪化させるケースもあります。特に、軽躁症状を「不安」と誤認した場合、抗うつ薬の投与が激しい気分の波を招く可能性があります。
一方で中医学では、心身のバランスを全体として捉え、「気・血・津液(しんえき)」の巡りや「肝・心・脾」の機能調和を図ることで、根本的な改善を目指します。精神活動は「心」に属し、その乱れは「肝気の鬱結」「心火上炎」「脾気虚」によって生じるとされます。
中医学の視点から見る混合性うつ
中医学では「混合性うつ状態」は単なる精神疾患ではなく、全身の気の流れや臓腑機能の失調がもたらす「心身の不調和」として捉えます。以下のような証(しょう)に分類されることがあります:
- 肝気鬱結型:情緒不安、怒りっぽさ、胸脇部の張り感
- 心脾両虚型:不眠、健忘、動悸、食欲不振、疲労感
- 痰熱内擾型:思考混乱、イライラ、不眠、口苦
鍼灸・整身・整息による統合アプローチ
混合性うつ状態には、以下のような経絡・経穴を用いた鍼灸治療が有効です:
- 膻中(だんちゅう):気の滞りを緩和し、胸のつかえを取る
- 鳩尾(きゅうび):精神的な不安を鎮める
- 巨闕(こけつ):消化機能を整え、心の安定につなげる
- 百会(ひゃくえ):脳の緊張緩和、意識の調整
- 心兪(しんゆ)、膈兪(かくゆ):心身の疲労と精神緊張を解く
また、当院独自の「整身・整息」では、深い呼吸と身体調整を通して副交感神経を優位にし、思考の嵐や情緒の揺れを静めることを目指します。単なる対症療法ではなく、自らの内なる自然治癒力に働きかける根本治療を行います。
未来へ向けた選択
一時的な安定ではなく、「自分らしく生きる力」を取り戻すこと。これこそが、私たちが提案する未来型治療の真髄です。表面的な症状に対処するだけでなく、真の意味で「心と体の声」に耳を傾ける医療を、あなたと共に創っていきます。
執筆者
井出 貴之(鍼灸師)|プロフィールはこちら
参考文献
Koukopoulos A, Sani G : DSM-5 criteria for depression with mixe features : a farewell to mixed. Acta Psychiatr Scand 129 : 4ー16, 2014
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関連外部リンク
双極症「混合状態」がとてもつらい。
さくらこころのクリニック
Should major depressive disorder with mixed features be classified as a bipolar disorder?
National Library of Medicine
Major Depressive Disorder With Mixed Features: Recognition and Management
U.S. Pharmacist