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経絡・経穴(ツボ)

陰郄(いんげき)

「心の奥の緊急避難口」

日常では気づかない“感情の積もり”が、ある日突然あふれ出す。

陰郄は、その内なる感情のマグマを静かに外へと導く感情の安全弁。

静けさの中にある「爆発の前兆」を読み取るために、まずは心に手を当てて、そっと陰郄に触れてみてください。

英語
Heart(HT)6
Yin Xi(Yin Cleft)

陰郄(いんげき)(郄穴)

手の少陰心経6
The Heart Meridian of Hand-Shaoyin

陰郄
いんげき
ingeki

取穴部位
前腕前内側、神門(HT7)から0.5寸上、尺側手根屈筋腱の橈側に位置。
皮膚の柔らかさが急に変わるポイントに一致し、指先で軽く押すと「芯があるような痛み」を感じやすい部位。

筋肉
尺側手根屈筋、浅指屈筋

運動神経
尺骨神経

知覚神経
内側前腕皮神経

血管
尺骨動脈

手の少陰心経

主治
・急性心痛、狭心症のような胸の痛み(発作的症状)
・不安感、過呼吸、動悸、驚きやすい体質
・のぼせ、顔の紅潮、急にカーッとなる感情発作
・出血傾向(特に鼻血や不正出血など心火の過剰によるもの)
・睡眠中に胸を押さえるような悪夢・夢魘

名前の由来(オリジナル解釈)
「陰」は**目に見えない内面世界、心神、静かなる力**を意味し、「郄(げき)」は**隙間・急所・集まるところ**を指す。
つまり「陰郄」は、心の奥深く(陰)に溜まった“言葉にならぬ衝動”や“傷”が表に噴き出す前の“隠れた亀裂”を意味する。
ここを開けば、「感情という名の溶岩」が静かに抜けていく道筋となる。

中医学的意義
・**郄穴(げきけつ)**としての陰郄は、**急性症状や発作性の病に即効性を持つ**とされる。
・心は五臓の“君主”であり、陰郄はその君主が不安定になったとき、**緊急連絡用の“避難口”のように働く。**
・特に**心血虚または心火亢進による「情緒爆発」**に用いると有効であり、**舌尖の痛み・赤み、口内炎**にも連動することがある。

現代的応用・象徴的意義
・「不安になると胸が苦しくなる」「急に涙が出る」「怒りが込み上げてきて止まらない」といった状態は、**“心の溜まり場”が許容量を超えたサイン**。
・陰郄は、その爆発を防ぐための**緊急排出スイッチ**のような役割を果たす。
・感情をうまく処理できずに**身体に蓄積してしまう“情緒過敏体質”の人**には特に重要。

セルフケアのヒント
・感情的な刺激が強かった日の夜、胸がざわざわするときに陰郄をやさしく指圧。
・呼吸が浅くなってきたとき、左右の陰郄を交互に軽く叩くように刺激すると、胸が開きやすくなる。
・慢性疲労や情緒不安定を感じたら、他の心経穴(神門、通里)との組み合わせで「感情の通路」を整える。

注意点
・急性発作時に用いる際は強刺激ではなく「深くゆっくりと沈める」ことを意識。
・陰郄が過敏になっている人は、反応が強く出やすいため注意深く触れること。

→神門(しんもん)

←通里(つうり)

→足の陽明胃経

←手の太陰肺経

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