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経絡・経穴(ツボ)

通里(つうり)

「心の“声なき叫び”が身体に届く道」

誰にも言えなかったこと、気づかれなかった寂しさ、表現できなかった怒り。

それらは沈黙のまま、身体のどこかで通り道を探している。

通里は、そうした感情が身体に届く**“見えない通信回路”**なのかもしれません。

英語
Heart(HT)5
Tong Li(Connecting Li)

通里(つうり)(絡穴)

手の少陰心経5
The Heart Meridian of Hand-Shaoyin

通里
つうり
tsuri

取穴部位
前腕前内側、神門(HT7)から1寸上、尺側手根屈筋腱の橈側。
腱を軽く指先でなぞるように触れると、筋の外縁に沿って“奥に響くような”感覚を覚えることがある部位。

筋肉
尺側手根屈筋、浅指屈筋

運動神経
尺骨神経

知覚神経
内側前腕皮神経

血管
尺骨動脈

手の少陰心経

主治
・心悸(動悸)、不整脈
・言語障害、舌のもつれ(失語、吃音)
・情緒不安、急な感情の変動(涙、怒り、焦燥)
・小指や手の冷え、しびれ感
・不眠、悪夢、不安感による睡眠障害

名前の由来(オリジナル解釈)
「通」は**通じる・貫く・気血が滞りなく流れること**、「里」は**集まる場所・人の住む場(内面世界)**を意味する。
つまり“通里”とは、**心の奥(里)にある感情や思考が、身体(経絡)を通じて表に現れる場所**であり、「自分の内側と外界をつなぐ感情の回路」と解釈できる。

中医学的意義
・心経の**絡穴**であり、**本経と絡脈を通じて、心の変調が他の臓腑や感覚器官(特に舌)に波及する前の“分岐点”**にあたる。
・「心は舌に開竅する」という理論から、心の病変によって起こる**舌の震え、口の利きづらさ、失語**などに有効。
・また、「心神不安」による不眠や悪夢などにも使用され、心神が“本来の居場所”に帰る道を示すとされる。

現代的応用・象徴的意義
・「言いたくても言えない」「本音を封じ込めてきた」人に対して、**心の“言葉”を再起動するツボ**。
・SNSでは多くを語れても、身近な人には何も言えない——そんな**沈黙のストレス**が体に影を落とすとき、このツボに痛みや硬さとして現れることがある。
・心が張り詰めすぎたとき、ここに温灸や軽い指圧を行うことで、**言葉にならない思いが涙や溜息として流れ出ることもある。**

セルフケアのヒント
・不眠のとき、布団の中で深呼吸しながらこのツボを優しく押すと、自然に眠気が戻ることがある。
・舌がもつれる、上手く話せないとき、軽くこすりながら「深呼吸してから話す」習慣をつけると良い。
・人前で緊張する人は、ここを押しながら“心はここにある”と意識すると落ち着く。

注意点
・精神的ストレスや過緊張がある人には、強刺激は避け、まず「触れるだけ」のタッチから。
・尺骨動脈に近いため、刺鍼は腱を避け、軽く皮下に沿うように行うのが安全。

→陰郄(いんげき)

←霊道(れいどう)

→足の陽明胃経

←手の太陰肺経

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