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陰谷(いんこく) |

陰谷 — 沈黙と再生の谷、水が清める心と体
「もし、あなたの中で“濁ったまま動かぬ水”があるなら、
一度、陰谷に耳を澄ませてみてください。
そこには、静かに再生を待つ泉があります。」
英語
Kidney(KI)10
Yingu(Yin Valley)
陰谷(いんこく)(合水穴)
足の少陰腎経10
The Kidney Meridian of Foot-Shaoyin
陰谷
いんこく
inkoku
取穴部位
膝を軽く曲げた状態で、膝窩(ひかか)横紋の内側端。半腱様筋腱と半膜様筋腱の間の陥凹部に取る。
押すと深く、やや重だるく響くのが特徴。
筋肉
半腱様筋腱、半膜様筋腱
運動神経
脛骨神経
知覚神経
伏在神経
血管
膝関節動脈網(膝窩動脈の枝)

主治(臨床応用)
・排尿困難、血尿、膀胱炎、遺尿
・膝の痛み、屈伸障害、下肢のしびれや冷感
・生殖器の不調(インポテンツ、月経不順)
・不安、恐れ、緊張など腎虚に由来する精神不安
▶ 腎経の合水穴として、水の流れと清めを担う要穴。
名前の由来(オリジナル解釈)
「陰谷」とは、
▶「陰」は腎・精・静・隠・夜など、**内なる生命の源**を表す陰陽の“陰”
▶「谷」は、**水が集まり湧き出る場所、または境界のくぼ地**
すなわち陰谷とは、
▶**「陰の水が集う谷間」**
▶腎経という生命の地下水脈が、地上に顔を出し“浄化の泉”として顕れる場である。
経絡的意義と象徴性
・陰谷は、腎の「水」を象徴する経穴であり、腎が抱える“滞り”や“熱”を洗い流すポイント。
・経絡の流れで見ると、陰気が下から上へと巡る“起点の谷”であり、
生命の水が上昇する前に「静かに留まり、清められる場所」ともいえる。
詩的イメージ
・「暗き谷間にこだまする静かな泉」
・「汚れた水を流し、新たな命を育む小川の源」
・「内なる沈黙が、再生の力へと変わる場所」
▶ 陰谷は、**内側に蓄積された“熱と濁”を洗い流す沈黙の浄化装置**
臨床の工夫と応用
・腎経の水の合穴であるため、膀胱や尿道の熱・湿に関する症状に特に効果が高い。
・冷えと湿が絡む膝痛には、地機や陰陵泉と併用して、陰の水の循環を促す。
・泌尿器系のトラブルに対しては、関元・腎兪とともに使用することで全体的な腎機能を高める。
▶ 特に「冷え+むくみ+排尿障害」の三点セットには積極的に選穴。
精神・感情への作用
・根拠のない不安や孤独感を和らげる
・「見えないものへの恐怖」や「死への漠然とした不安」など、深層心理の領域に作用する
・自己否定感が強く、自らの生命力を信じられない状態に、陰谷の“清めの水”はやさしく寄り添う
▶ 陰谷は、**心の深層に潜む「恐れの澱(おり)」を洗い流す泉**
現代的な活用例
・トイレが近くなる、残尿感がある、尿が熱い…といった排尿トラブルにセルフケアでも使いやすい穴
・膝裏が冷たく、めぐりが悪いタイプの冷え性対策に温灸併用
・深い疲労感や、腎の陰が不足している現代人の養生ポイントとして
▶ **陰谷は、現代人が忘れかけた「内なる静けさ」と再び出会うための導水路**である。
→横骨(おうこつ)
←築賓(ちくひん)
→手の厥陰心包経
←足の太陽膀胱経
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