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経絡・経穴(ツボ)

後谿(こうけい)

「心の奥に眠る“声にならなかった想い”が、背を伝って響きだす場所」

夜が深くなるほど、心は静かにならず、

背中が重く、頭の中がざわつく——

そんなとき、後谿は静かに語りかけてくれます。

「もう力を抜いていいよ。今は、心を休ませる時間だよ」と。

英語
Small Intestine(SI)3
Hou Xi(Back Ravine)

後谿(こうけい)(兪木穴)

手の太陽小腸経3
The Small Intestine Meridian of Hand-Taiyang

後谿
こうけい
kokei

取穴部位
第5中手指節関節(MP関節)の背側、尺側陥凹部。
手を軽く握るとできる横紋(手掌の端)のやや後方、皮膚の落ち込むくぼみ。
「拳を結ぶ時に最も力が集まる小指側の支点」とも言える。

筋肉
小指外転筋、短掌筋腱の一部

運動神経
尺骨神経(手内筋支)

知覚神経
尺骨神経浅枝

血管
尺骨動脈の枝(背側中手動脈、第5指動脈など)

手の太陽小腸経

主治
・後頭部から肩、腕、指にかけての痛みやしびれ(特に小指と肘のライン)
・頭痛、項強(うなじのこわばり)、目の疲れや視界のぼやけ
・耳鳴り、難聴、めまい、平衡感覚の乱れ
・うつ症状、不安感、心の緊張、悪夢など「夜に心が落ち着かない」状態
・手根管症候群や腱鞘炎、反復する小指周辺の筋緊張や炎症

名前の由来(オリジナル解釈)
「後」は身体の“裏側・背面・後方”、「谿」は“谷間”を意味する。
**後谿とは「体の背後にある見えない谷、内なる想いが流れる場所」**を示す。
前谷(SI2)からさらに進んだこの場所は、感情や思考が肉体へと沈み、
“無意識”とつながる領域に入り始めるポイントでもある。
特に「日常では気づきにくい、心の背後にある疲れ」や「夢の中に現れる感情」など、
**内在した“深層の自分”を見つめるための通路**として、このツボは象徴される。

中医学的意義
・兪木穴として気血の流れを活性化し、経絡を通じて**心火を冷まし、清熱排毒**する働き。
・「督脈(背骨の中心軸)」と連絡する要穴とされ、**背中から脳にかけての通路を開く**要所。
・また、外界からの“邪”を察知し、それを体外に出すための“門”としても機能する。

現代的応用・象徴的意義
・情報過多の現代において、**後ろ姿の緊張**(スマホ首、長時間デスクワーク)に伴う症状に有効。
・“誰にも言えない疲れ”や“言葉にならない重さ”が背中にのしかかっている時、
 後谿はそれを**静かに開放する「背中の感情の出口」**となる。
・また、夢見が悪い・寝ても疲れが取れないなど、
 **睡眠の質にかかわる「無意識の不調」**にも作用するとの報告も。

セルフケアのヒント
・軽く拳を握り、後谿を反対の親指でゆっくりと押す。
 特に「今日1日、心を背負いすぎた」と感じる夜におすすめ。
・指先で軽くさすりながら、「今夜は何も背負わなくていい」と心に語りかけてみる。
・「目を閉じるとすぐに考え事が始まる」ようなとき、
 後谿を温めてから入眠すると、脳の深部が落ち着くことも。

注意点
・過度の圧や刺激は一時的に興奮を高めることがあるため、
 **特に不眠や神経過敏な方には穏やかな刺激**を意識すること。
・経絡治療では「心と背面のリンクポイント」となるため、
 情緒が不安定なときは呼吸を深くしてから使用するのが望ましい。

→腕骨(わんこつ)

←前谷(ぜんこく)

→足の太陽膀胱経

←手の少陰心経

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