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経絡・経穴(ツボ)

髀関(ひかん)

“動けない”心と体に、最初の一歩を取り戻すツボ

気血の通過点として、**全身と下肢の「境目」**をつなぐ

動作と決断、身体と人生の「スタートライン」に触れる場所

迷いを超えて歩き出す、自分の“足で立つ感覚”を取り戻す力がある

英語
Stomach(ST)31
Biguan(Thigh Joint)

髀関(ひかん)

足の陽明胃経31
The Stomach Meridian of Foot Yangming

髀関
ひかん
hikan

取穴部位
上前腸骨棘の下方で、縫工筋と大腿筋膜張筋の間の陥凹部に取る。
股関節前外側に位置し、太腿を曲げた時に現れるくぼみを指標とする。
立位・仰臥位いずれでも触診しやすいが、股関節屈曲時が明瞭。

筋肉
大腿直筋、縫工筋、大腿筋膜張筋

運動神経
大腿神経、上殿神経

知覚神経
外側大腿皮神経

血管
外側大腿回旋動脈

足の陽明胃経

主治
・股関節周囲の痛み、違和感、可動制限(股関節炎・変形性股関節症)
・下肢のしびれ、坐骨神経痛(特に前面型)
・膝の屈伸困難、大腿のこわばり
・下半身のだるさ、立ち上がり困難、歩行時の不安定感
・女性の骨盤の冷え・生理痛(特に鼠径部から太ももにかけて痛むタイプ)

名前の由来(オリジナル解釈)
「髀(ひ)」とは、股(もも)の外側、大腿の上部を意味し、
「関(かん)」は関所・関節のように、**動きとエネルギーの通過点**を示す。
つまり「髀関」は、**上半身からの気血が下肢へと流れ込む“関所”**であり、
骨盤帯と脚とのつながりを統括する重要ポイントである。

中医学ではここを、「陽明胃経が陰から陽へ転じる節」と見なすこともでき、
**“動き出す準備をするエネルギーの出発点”**としての意味合いがある。

中医学的意義
・胃経の気が地面へと流れ始める経穴であり、
 脾胃の気虚に伴う下肢のだるさや筋力低下に深く関与する。
・特に**「陽気不足により気が足まで届かない」**といった体質に対して有効。
・「肝腎不足」による下肢の冷えや筋萎縮、歩行困難などにも応用される。

臨床応用メモ
・変形性股関節症、筋膜炎、外転筋弱化の補助穴として。
・「髀関+陽陵泉+足三里」で、膝から股関節までの連動不良を整える。
・骨盤調整の鍼灸や手技療法と併用すると、股関節可動域の改善に効果的。
・パーキンソン症候群の「すくみ足」や老人性筋力低下の初期対応にも有効。

心理的・エネルギー的側面(オリジナル視点)
髀関は、“行動の一歩目”に関わるツボであり、
「足が重くて動けない」「決断ができない」といった
**“心身両面のブレーキ”を解除するゲート**と考えられる。

・新しい環境に踏み出す勇気が持てない
・人生の転機に立ちすくんでいる
・失敗の記憶から、身体が縮こまっている

――こうしたとき、髀関への刺激が、**「足から始まる覚悟」**を呼び覚ます。

セルフケア活用法
・椅子に腰かけて、股関節の前外側(鼠径部より少し外)を手指で軽く押す。
・片方の足を上げて交互に刺激すると、左右の滞りの差に気づける。
・お灸で温めると、全身が動きやすくなり「やる気が湧いてくる」ことも。

注意点
・浅く刺鍼しても反応が強く出る敏感部位。深刺し・強刺激は避ける。
・坐骨神経に沿ったしびれが出る場合は、関連筋(大腿筋膜張筋・中殿筋)の状態も確認。
・妊娠後期は圧迫刺激を避け、優しく触れるだけでも十分効果がある。

→伏兎(ふくと)

←気衝(きしょう)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

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胃 東洋医学