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経絡・経穴(ツボ)

気衝(きしょう)

本能と生命力の交差点に触れる、腹部の“転換点”

衝動、性、生命のエネルギーが「衝突」し、また「調和」する場

陰陽、内外、生と死の“はざま”にある、重要な気の交点

単なる臓器の調整を超えた、“存在の根源”へのアクセス穴

英語
Stomach(ST)30
Qichong(Surging Qi)

気衝(きしょう)

足の陽明胃経30
The Stomach Meridian of Foot Yangming

気衝
きしょう
kisho

取穴部位
天枢穴の下5寸で、曲骨穴の外2寸。
鼡径部(足のつけ根)に位置し、大腿動脈拍動のすぐ外側に取る。
施術時には深部の脈動や圧痛に敏感であり、慎重な触診が必要。

筋肉
外腹斜筋、内腹斜筋、鼡径靱帯

運動神経
肋間神経、腸骨下腹神経、腸骨鼡径神経

知覚神経
腸骨下腹神経前皮枝、腸骨鼡径神経

血管
浅腹壁動脈、下腹壁動脈、大腿動脈に近接

足の陽明胃経

主治
・鼠径ヘルニア(脱腸)
・睾丸の引きつれや痛み、精巣上体炎、精索静脈瘤
・女性の子宮下垂、会陰部の違和感
・頻尿、排尿障害、下腹部の突っ張り感
・性機能低下、生殖器の冷え・血流不良

名前の由来(オリジナル解釈)
「気衝」とは、「気が衝(つ)く=ぶつかる、突き上がる場所」の意。
これは、陽明胃経という“気血の豊富な経脈”が、下焦の臍下丹田を通過して、**生命エネルギーの臨界点にぶつかる場所**であることを示している。
また、大腿動脈の拍動を感じるこの部位は、**「気(血)がぶつかる=流れの転換点」**という生理的な象徴も担う。
感情的には、**性・本能・衝動の制御点**とも言える。

中医学的意義
・胃経の最下部、かつ衝脈との接点であり、**「生殖」「生命の衝動」**に関係する重要な経穴。
・五臓でいえば、**腎(先天の精)と脾胃(後天の気)の交差点**にあたる。
・「気」が滞ることで起こるさまざまな下腹部疾患、特に**気滞血瘀**や寒湿タイプの不調に応用。

臨床応用メモ
・男性不妊、精子減少、睾丸の違和感に対して「気衝+腎兪+関元」の組み合わせが有効。
・女性の尿漏れ、下腹部の冷え感には「気衝+帰来+三陰交+腎経の照海」などが有効。
・鼠径部リンパ節のつまりや滞りにも効果的。
・施術時は深部の血管を避け、浅層の圧痛や冷感部を丁寧に触診しながら刺激。

心理的・エネルギー的側面(オリジナル視点)
「気衝」は、“理性では制御できない力”が集まる場所。
・衝動を抑えすぎている人には、「解放」
・性の罪悪感に縛られている人には、「許し」
・逆に衝動がコントロールできない人には、「静けさ」
という、**陰陽両極の調整点**となる。

この場所を意識することで、「衝動=危険」ではなく、「衝動=生きる力の現れ」と再定義することが可能になる。

セルフケア活用法
・仰向けで脚を軽く開き、鼡径部の外側を指で軽く圧して、温感を確認。
・温灸や湯たんぽを使って「気を下に降ろす」ように意識する。
・呼吸とともに下腹部に意識を送り、「身体の中心から力が湧いてくる」感覚を育てる。

注意点
・大腿動脈に非常に近い部位のため、強圧は厳禁。脈拍を感じる位置は避けて施術。
・妊娠中は避ける。特に初期~中期は流産誘発のリスクがあるため禁忌。
・感情的反応が出やすいので、静かな環境と信頼関係が大切。

→髀関(ひかん)

←帰来(きらい)

→足の太陰脾経

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