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懸枢(けんすう) |

英語
Governor Vessel(GV)5
Xuan Shu(Suspended Pivot)
懸枢(けんすう)
奇経 督脈5
The Du Meridian (Dumaixue)
懸枢
けんすう
kensu
取穴部位
第1・第2腰椎棘突起間、正中線上
背中から腰への移行部で、体幹の“ねじれ”やすい要所に位置
筋肉
棘上靱帯、棘間靱帯、棘間筋、多裂筋
運動神経
脊髄神経後枝
知覚神経
腰神経後枝
血管
腰動脈背枝
主治
- 腰背部の重だるさ・動作時の引っかかり
- 下肢の冷え、しびれ(特に股関節~大腿部)
- 便秘、腸の蠕動の低下
- 産後の骨盤周囲の不安定感
- 体幹のねじれや側彎に関連する症状
名前の由来(オリジナル解釈)
「懸(けん)」とは“吊るす・支える”の意味。 「枢(すう)」とは“要所・回転軸”を意味し、古代の門の回転軸である“枢軸”を指す。 つまり懸枢とは、**「吊り下げられた身体の回転軸」=体幹の可動の中枢ポイント**という意味を持つ。 この場所は、上半身と下半身を物理的に“つなぐ蝶番(ちょうつがい)”であり、ここが錆びつけば体の中心がズレる。
また、人体を“上下に吊るされた構造物”として見たとき、この懸枢はその**揺れ止め(ダンパー)**にも相当する。
象徴的意義と身体観的意味
- 懸枢は「ぶれない軸」をつくる場所:内臓や骨盤帯、脊柱の安定の要
- “背骨から語る意志”の拠点であり、軸が整えば言動に一貫性が出る
- このツボが滞っていると、体の軸がぶれ、姿勢・内臓・気分すべてが不安定になる
- 精神的には「中庸」を保つ力と関係し、左右のバランスをとる意識にも通じる
臨床応用と施術ヒント
- ぎっくり腰の初期で、腰椎のねじれ感が強いとき、懸枢は調整点として有効
- 股関節や大腿の症状がある場合でも、局所ではなく懸枢を整えることで改善することが多い
- 骨盤の前後傾を評価する際、懸枢の動きの左右差や圧痛もヒントになる
- 太衝・足三里と組み合わせて、上下を結ぶラインとして活用することで安定感が出る
セルフケアとしての懸枢
- 腰に手を当てて、軽く左右に揺れるだけで懸枢の「中心軸意識」が芽生える
- 長時間座る前後に、ここを軽く温めることで坐骨神経の負担も軽減
- 呼吸法(特に腹式呼吸)と連動させ、懸枢で“深くつながる感覚”をつかむ
補足:懸枢は“動と静”のハブ
人が動くには支点が必要であり、止まるには芯が必要。 懸枢は、まさにその「**動き出すための芯**」として、**躍動と安定の両方をつなぐ節**である。 現代人は外に意識を向けすぎ、体幹の枢(かなめ)を忘れている。 懸枢に気を戻すことは、「自分の本来の位置に戻る」ことでもある。

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→手の太陰肺経
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