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経絡・経穴(ツボ)

太淵(たいえん)

英語
Lung(LU)9
Tai Yuan(Great Abyss)

太淵(たいえん)(兪土穴)(原穴)〈脈会〉

手の太陰肺経9
The Lung Meridians of Hand Taiyin

太淵
たいえん
taien

取穴部位
手関節前面横紋の橈側端、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間の陥凹部に位置し、橈骨動脈の拍動を触知できる部位。
脈診においても用いられるほど、脈の“声”が強く響く場所。

筋肉
・深層に長母指外転筋腱、短母指伸筋腱

運動神経
・橈骨神経の枝

知覚神経
・外側前腕皮神経

血管
・橈骨動脈(拍動強く明瞭)

手の太陰肺経

主治
・慢性的な咳、喘息、息切れ、胸の重さなどの肺系疾患全般
・手首の痛み、母指の痺れ、腱鞘炎の予防や回復期
・皮膚の乾燥、アトピー、皮膚炎など(肺は皮膚を司る)
・動悸、不整脈など循環器系の不調(“脈会”としての意義)
・感情起伏が激しく、心の呼吸が乱れがちなタイプにも適応

名前の由来(独自解釈)
「太」は“大いなる・根本的な”を意味し、「淵」は“深い水のたまり場、エネルギーの蓄積点”を表す。
このツボは、肺のエネルギーが“静かに、深く蓄えられる場所”であり、
まるで命の水が深淵に湧き出るように、根源的な呼吸力を内奥から支える。
「太淵」は、外に向かう“流れ”ではなく、内に還る“静けさ”を持つ名である。

兪土穴・原穴としての役割
・「兪土穴」は五行の“土”に属し、肺の金を支える“滋養の地”として働く。
・「原穴」としては、肺の正気(正しいエネルギー)の貯蔵庫であり、
 虚弱体質や長引く病後の養生に欠かせない“本元”となる。

脈会の意味と応用(独自視点)
・「脈会」は“全身の脈気が集まる場所”という意味を持ち、
 ここでの拍動は、単なる生理的現象を超えて“生命の語り”であると考えられる。
・太淵で脈に触れることは、「身体全体の声を聴く行為」であり、
 東洋医学における診断・治療・観察の核心ともいえる。

臨床応用(オリジナル視点)
・咳の音が“乾いていて痛々しい”患者には、太淵の深部に温灸を軽く施すことで、
 “潤いの力”を内側から呼び戻す作用が期待できる。
・気の流れが“表面ばかりを漂い”、落ち着きのない患者に対しては、
 太淵に鍼を静かに留めることで“気の帰る場所”を思い出させる。

感情との関連
・肺は“悲”を司り、太淵は「悲しみの井戸」であるとも言える。
・深く息を吐き切ったとき、心が静まり、思わぬ涙が出ることがある。
 この瞬間、太淵はただのツボではなく、“心の呼吸”そのものである。

養生のヒント
・朝の呼吸が浅く、気持ちが落ち着かないとき、太淵に手を当てて深く息を吐いてみる。
・冷え性や乾燥体質の方は、太淵を温めるだけで呼吸が深くなり、眠りの質が変わることも。

補足
・手首の中で最も「命の音」に近い場所。太淵を知るとは、
 自らの「いのちの根」を感じることに他ならない。
・鍼を刺すより、まず“触れる”ことから始めたいツボである。

→魚際(ぎょさい)

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→手の陽明大腸経

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