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経絡・経穴(ツボ)

帰来(きらい)

内なる自己への“帰還”を導く経穴

下焦の生理的調整のみならず、心理的な“再統合”の入り口でもある

自律性・感覚性・性エネルギーの回復に密接

「帰るべき場所を見失った心身」に静かに作用する

英語
Stomach(ST)29
Guilai(Return)

帰来(きらい)

足の陽明胃経29
The Stomach Meridian of Foot Yangming

帰来
きらい
kirai

取穴部位
天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸。
臍下4寸から指2本分(約2寸)外方にある。仰臥位にて腹部を十分に弛緩させ、周囲の硬結・冷えを確認することが有効。

筋肉
腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋

運動神経
肋間神経、腸骨下腹神経、腸骨鼡径神経

知覚神経
腸骨下腹神経前皮枝

血管
浅腹壁動脈、下腹壁動脈

足の陽明胃経

主治
・月経不順、無月経、子宮発育不全
・不妊症、性欲減退、ED、勃起障害
・鼠径部の冷え、腹部の硬直、下腹部の膨満感
・婦人科・泌尿器疾患、特に下焦に関わる慢性症状全般
・「失われた感覚」の回復、性的トラウマや拒絶感の緩和にも間接的に活用可

名前の由来(オリジナル解釈)
「帰来」とは、“帰って来る”という意味であり、**生命の本源・根源への帰還**を象徴する名称。
ここで言う“帰る”とは、単に場所としての子宮や丹田だけでなく、**自分自身の深部に還ること、内なる感覚を取り戻すこと**を指す。
そのため、経穴「帰来」は、肉体だけでなく、**存在感や自己の中心感覚を取り戻すためのスイッチ**と考えられる。

中医学的な意義
・陽明胃経の末端部に近く、下焦の調節に強く作用する要穴。
・腎陽虚、肝鬱、瘀血、寒湿、気滞など、さまざまな証に対応可能な「下焦調整穴」としての役割。
・特に「胞宮(子宮)」への作用が強く、「女子の要穴」とも言われる。
・経絡的には、衝脈や任脈との関係も意識して施術することで、効果がより明確に現れる。

臨床応用メモ
・不妊症には「帰来+関元+三陰交+中極」の組み合わせが基礎的な方針となる。
・冷え性や無月経には「帰来+気海+命門(背部)」を温灸で活用。
・男性の性機能低下(ED、精力減退)にも応用できる数少ない腹部経穴。
・鼠径部リンパの停滞や、感情的なブロック解除にも使える。

心理的側面(オリジナル視点)
帰来は、「失ったものを取り戻す」ための経穴でもある。
・過去の性的なトラウマや、自身の身体への嫌悪感
・誰かとの関係で「奪われた」と感じた尊厳や境界感覚
・あるいは、自分の内側に戻ることを拒絶しているような、感情の行き場のなさ
そういった心の“離れ”を、「帰来」に触れることで少しずつ戻していく。
まるで、自分がまた「ここにいていい」と思えるようになるような、内的回復の糸口。

セルフケア活用法
・湯たんぽや温灸器で下腹部(帰来周囲)をじっくり温める
・施灸中に「自分に戻る」「感覚が戻ってくる」と心で唱えると、身体が反応しやすい
・呼吸を丹田まで下ろし、「今ここに存在する感覚」を養う

注意点
・妊娠中は基本的に刺激を避ける(子宮刺激のリスクあり)
・強圧を避け、軽い接触から始めると感情反応が出にくく安全
・感情面に働きやすい経穴なので、術者側の「場作り」も大切に

→気衝(きしょう)

←水道(すいどう)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

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胃 東洋医学