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気逆(きぎゃく)

気逆(きぎゃく)

英語

Rebellious qi

Counterflow of qi

本来、「人体の気は一定の方向性(昇降出入)」を持って流れています。

これが逆に流れてしまう状態を「気逆」といいます。

気逆(きぎゃく)の特徴と鍼灸治療まで詳しく解説。

もくじ

・気逆(きぎゃく)とは

・気逆の症状

・気逆の原因

・気逆の弁証(診断)

・気逆の治療と対処法

・気逆の鍼灸治療

・気逆と経絡の関係

・気逆で使用する経絡・経穴(ツボ)の例

執筆者

井出井出 貴之(鍼灸師)プロフィール

気逆(きぎゃく)とは

中医学では「気(き)」は体を巡り、呼吸・消化・血液循環など生命活動を支えるエネルギーと考えられています。

通常、この気は一定の方向に流れていますが、その流れが逆向きになり、上へ突き上げるように動いてしまう状態を「気逆(きぎゃく)」といいます。

例えば、食べ物を受け入れるはずの胃の気が逆流すると吐き気が出たり、肺の気が逆行すると咳や息苦しさとなって現れるのです。

気逆(きぎゃく)2

気逆の症状

気逆の症状は、どの臓腑の気が逆流するかによって異なります。

・肺の気逆:咳、喘鳴(ゼーゼー)、息切れ、胸の張り
・胃の気逆:吐き気、嘔吐、げっぷ、しゃっくり
・肝の気逆:頭痛、めまい、顔の赤み、怒りっぽさ
・腎の気逆:息を吸うのが苦しい、慢性的な呼吸の弱さ

このように、気逆は「体の気が本来の方向に流れず、上へ突き上げること」による症状が中心です。

気逆の原因

気逆の原因はさまざまですが、代表的なものは以下の通りです。

ストレスや怒り:肝の気を停滞させ、気が逆上する
食べ過ぎ・飲み過ぎ:胃の働きを乱し、胃気が上へあがる
慢性の咳や呼吸器の弱り:肺の気が下降できなくなる
加齢や虚弱:腎の納気作用が弱まり、吸気が困難になる
心身のバランスの乱れが積み重なると、気逆が起こりやすくなります。

気逆の弁証(診断)

中医学では「どの臓腑の気が逆流しているのか」を見極めることが大切です。
弁証(診断)には、症状の性質・出方・誘因を観察し、舌や脈の状態も参考にします。
例えば、吐き気やげっぷが中心なら「胃気上逆」、怒りやすく頭痛があれば「肝気上逆」、咳や息切れなら「肺気上逆」などと判断します。

気逆の治療と対処法

気逆の治療は、逆行する気を本来の流れに戻すことを目的とします。

・呼吸を整える深呼吸や腹式呼吸
・暴飲暴食を避け、胃腸をいたわる食生活
・ストレスを減らし、心身をリラックスさせる工夫
・冷えや緊張を和らげる温浴や軽い運動

日常の生活習慣を整えることが、気の流れをスムーズに戻す第一歩です。

気逆の鍼灸治療

鍼灸では、経穴(ツボ)を用いて気の流れを調整します。
気逆の場合は、逆流している気を鎮め、上下のバランスを整えることが目的です。
例えば、胃の気逆には「中脘」や「内関」、肺の気逆には「太淵」や「列缺」、肝気上逆には「太衝」などがよく使われます。
症状や体質に応じて経穴を選び、刺激することで自然な気の流れを取り戻します。

気逆と経絡の関係

経絡は体を巡る気と血の通り道です。
気逆は、この経絡の流れが乱れた結果として現れます。
例えば、胃経では本来下降すべき気が上に上がると吐き気となり、肺経では下降すべき気が逆に上がると咳になります。
つまり、気逆は経絡の流れと深く結びついているのです。

気逆で使用する経絡・経穴(ツボ)の例

気逆の施術に使われる経絡・経穴には次のようなものがあります。

・肺経:太淵列缺
・胃経:中脘足三里
・肝経:太衝行間
・腎経:太谿腎兪

これらの経穴を調整することで、逆行する気を鎮め、体のバランスを整えていきます。

※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。

中医弁証

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参考文献

中医弁証学
柯雪帆 (著), 兵頭明 (著)
東洋学術出版社
1998/7/1発売

全訳中医診断学
王 憶勤 (著), 浅野 周(訳)
たにぐち書店
2008/2/1発売

関連外部リンク

Qi Energy in Chinese Medicine
Yo San University

6 Pathophysiology of Qi and Vital Substances - Oxford Academic
Oxford Academic

Digestion and rebellious Qi | Acupuncture in Bristol
charlotteacupuncture.co.uk